【アパート経営】自己資金300万円の自営業者が10年で家賃年収1000万円を実現するには?

不動産経営

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アパート投資のカリスマ・石原博光さんの著書、[新版]「まずはアパート一棟、買いなさい!」を読んだ。
本書に書かれているアパート経営手法で、本当に家賃年収1000万円に到達できるのかどうか、シミュレーションしてみた。

「まずはアパートを一棟買いなさい」の投資手法とは?

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※出展:Amazon

アパート経営・アパート投資を考えている人が真っ先に読むべき良書。通称「まずアパ」。※以下、「まずアパ」。

この [新版] は加筆修正の上、2016年2月に再出版されたもの。2016年現在の金融機関の融資状況、大空室時代を乗り切るためのノウハウが書き加えられている。

本書がオススメしている不動産投資の手法は以下の通り。

具体的に言うと、1600万円で利回り17%の物件であれば、7~8年で回収。低金利で長期のローンを組んで、繰り上げ返済はほどほどにして資金を蓄えます。

蓄えた資金を元手に1~2年後にまたローンを組んで1600万円の物件を購入。同じように資金を蓄え、1年後に同規模のものを2棟、もしくは3200万円の物件を購入します。

そうすれば10年後には「無借金で年間1000万円の家賃収入と数千万円の実物資産」という目標をほぼ達成できます。


石原氏は、アパート投資を始めるには最低でも300万円の自己資金が必要と説いている。

1000万円~2000万円規模の物件を買って運営していくためには、どれくらいの自己資金が必要になると思いますか?

僕の経験から得た感覚値では300万円です。これくらいは最低ラインとして必要だと思います。

今の日本の経済状況では、数年前と比べて銀行の融資は積極的になっていますが、それでも物件購入価格の満額融資、すなわちフルローンを引くのは難しいと思います。しかも地方の物件や都心の築古物件というのは、なおさら融資を引きづらいでしょう。

行程表(シミュレーション)

本書の投資法に基づき、シミュレーションを実施した。

各種条件

シミュレーションの前提条件は、

  • 毎年の家賃減少率=「3%」
  • 空室率=「10%」
  • 金利=「3%」
  • 返済期間=「10年」
  • 一棟当たりの月間修繕費等「20万円」。管理費・固定資産税等を含む。
  • 一棟目購入の2年後、二棟目を購入。二棟目購入の2年後、三・四棟目を購入。
  • 物件価格は四棟合計で6400万円以内。

少々厳し目に設定した。
※融資に使う金融機関は日本生活金融公庫。自営業者の場合、融資期間は10年または15年。今回のシミュレーションでは、借金を早めに完済することを優先して10年ローンを選択。


利回り17%のアパートだと借金返済中はずっと赤字

以下は、表面利回り16~17%のアパートを例に、毎年のキャッシュフローを計算した結果。

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借金を返済し終わる11年目まで、キャッシュフローはずっと赤字だった。
10年間も利益が出ないという状況は、精神的にはかなりツライ。銀行のために働いているようなものだ。

もう少し利回りの高いアパートでシミュレーションをやり直す。

アパート四棟の合計物件購入価格は6150万円となる。

※各物件のリンク先は「楽待」「不動産投資連合隊」の参考物件。値下げ交渉が成立したと仮定する。

15年間は借金と付き合う覚悟が必要

上記四棟の借金返済状況は以下のようになる。
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すべての借金を返し終わるのは、アパート経営を始めてから15年目となる。

「15年も借金と付き合わなければいけないのか…」
と考えるか、
「15年がまんすれば、無借金で不労所得生活が実現できる!」
と考えるか。
借金への考え方は人それぞれだろう。

購入速度を速めていけば、借金と付き合う期間は短くて済む。ただしそのためには、アパート経営以外から高収入を得ている必要がある。

借金返済後の年間家賃収入は635万円

以下は借金返済額や修繕費等を差し引いた後のキャッシュフロー。
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本書が主張している「10年後に無借金で年間1000万円の家賃収入」という状態を達成するためには、

  • もっと利回りの良い物件を見つける。
  • 家賃下落や空室を抑えるための努力をする。
  • アパート購入速度を速める。
  • コストを下げる。

このような経営努力が必要ということが分かる。

上記シミュレーションから導かれた結論は、「10年で1000万円は難しいが、15年後に無借金で家賃収入600万円は充分可能」ということだった。

参考までに、今回シミュレーションに利用したExcelもアップロードしておく。
以下は、アパート経営を実行するための流れ。

1)物件を探す

たとえば以下のような収益物件ポータルサイトで物件を探す。


2)融資を受ける

[2-1] 事業計画書を作る

自営業者の場合、都市銀行等で融資を受けることは難しい。融資を受けられる可能性が高い金融機関は、日本政策金融公庫だ。

日本政策金融公庫のサイトから、

  • 借入申込書
  • 企画概要書
  • 事業計画書

これらの書類をダウンロードして記入する。

[2-2] 支店を訪問する

最寄りの日本政策金融公庫の支店に電話等で問い合わせ。面談を予約する。

[2-3] 融資が下りるまで粘る

日本政策金融公庫で融資が下りなかった場合は、次のような金融機関も当たってみる。


3)契約・引き渡し

契約の締結、物件の引き渡しを受ける。

※参考:過去記事。

4)空室対策

値下げして購入した物件の場合、空室だらけの可能性が高い。リフォーム、仲介不動産会社への営業などの空室対策が必要。

※参考:過去記事。

5)出口戦略

借金返済後は手取り収入が一気に増えるが、喜んでばかりもいられない。税金支払いも同時に急増してしまうからだ。

借金完済が近づいてきたら売却という出口戦略を検討しておくべきだ。売却で得た現金は、さらに大規模な収益物件を購入するための頭金として使うことができる。

または、規模の拡大を目指さないという選択もありうる。無借金になった物件を保有し続けて、身の丈に合ったアパート経営を続けてもいいだろう。

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