【日独比較】3)送電線の違い

気候変動

日本とドイツでは送電線(連系線)の容量に関して大きな差はありません。
しかし、制度や運用技術には大きな違いがあります。

■連系線とは

地域間を結ぶ送電設備(以降「送電線」と呼ぶ)のことを「連系線」と言います。
例えば、北部では電力が余っていて、南部では電力が足りない時に、北部から南部に電力を送るための送電線が「連系線」です。

■日本の連系線

出典:総合資源エネルギー調査会

日本では地域ごとに電力会社(送電会社)が分かれています。
関東は東京電力、東北は東北電力、北海道は北海道電力、といった具合です。
よって日本では連系線とは、電力会社間をつなぐ送電線のことになります。

連系線には容量があり、容量上限以上の電気は送れません。
例えば、北海道と東北を結ぶ「北海道本州間連系設備(北本連系線)」の容量は900MWです。
関東と中部を結ぶ東京中部間連系設備」の容量は2100MWです。

■ドイツの連系線

出典:Wikipedia

ドイツでは送電網は4つの地域に分かれています。
日本の「送電会社」に相当する「TSO(Transmission System Operator)」という会社が4つ存在しているためです。

ドイツ東部(※1)と中央部(※2)を結ぶ連系線の一つ、No.414の容量は約1800MWです(2012年時点)。

※1:50HertzというTSOの管理する地域。
※2:TenneTというTSOの管理する地域。

連系線の容量で見ると、日本とドイツに大きな差はありません。
南北をつなぐ送電線の容量不足問題も、ドイツではたびたび指摘されています。

それでも、ドイツで再生可能エネルギーが多い背景には、
1)近隣諸国との電力輸出入が可能であること。
2)再生可能エネルギーの発電量が多い時間帯には、火力発電の出力を抑える義務があること。
3)逆潮流(※3)対策や電力網増強などの費用負担義務を、再エネ事業者ではなくTSOが負っていること。
4)太陽光や風力の発電量を正確に予測できること。
などといった事情があります。

※3:太陽光や風力などの再生可能電源が接続されている低圧電力網から、送配電網などの高圧側へ電力を流すこと。

■まとめ:送電線そのものよりも、制度や技術の差が大きい

日本とドイツでは送電線(連系線)の容量に関して大きな差はありません。
しかし、制度や運用技術には大きな違いがあります。

※アイキャッチ画像:PexelsによるPixabayからの画像

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