日本のフライブルクのつくり方

引っ越し

この記事は、「暮らしたい未来のまち」という企画に触発されて書いたものです。

私が「暮らしたい未来のまち」は、
・タイミング
・環境
・人
の3つを満たすものです。

具体的にこの3つを満たす場所として、
・「越谷(埼玉県)」
・「フライブルク(ドイツ国バーデン=ヴュルテンベルク州)」
の2か所を挙げます。

越谷のよいところ

私が越谷に住んだのは、駅前の再開発事業が終わって数年後の時期(2016年頃)でした。歩きやすく開放感のある駅前空間に、まちの魅力を感じました。

ふらふらしながら三輪車に乗るお子さんをママさんが後ろから支えて歩く光景を見て、「なんて牧歌的なまちなんだ…」と感動したことを覚えています。

越谷は東京都心から約30kmも離れており、通勤に便利なまちとは言いがたいです。ただ、その距離が逆に人口密度の低さというメリットをもたらしていました。

越谷市の人口は34万人、人口密度は約5,400人/平方kmです。
東京23区の人口密度は15,500人/平方kmで、越谷市の人口密度は東京の三分の一程度です。

参考:越谷市FILE MAGAZINE

越谷では、歩行者と自転車にやさしい環境が整っていました。

元荒川の土手や川は、悠久の時の流れを感じさせる癒しスポットとして機能しています。

自転車で15分ほど走れば、巨大ショッピングモール「イオンレイクタウン」にもたどり着きます。

まちおこしのボランティア活動も盛り上がっていました。

私の中では「もう一度住んでみたいまち」最上位を維持しています。

フライブルクのよいところ

かたや、ドイツのフライブルクは「環境都市」としてエコ界隈で有名な場所です。

世界のエコタウン フライブルク | FujisawaSST | Panasonic
世界のエコタウン - 世界に先駆けた都市デザインと再生可能エネルギー政策を備えた環境都市・フライブルクの取り組みをご紹介します。

車が住宅地に入ってこれない法規制や、公共交通を充実させることで、歩行者にやさしいまちづくりを実現しています。

集合住宅の屋上に太陽光パネルを敷きつめたり、住宅の断熱性を高めたり、路面電車の線路を緑地化して騒音を軽減したりして、「住みやすさ」を高めることに成功しています。

スーパーや書店、ドラッグストア、家電店などもそろっていて、買い物や生活にも便利なまちでした。

フライブルク市の人口は23万人で、人口密度は1,500人/平方kmです。
ちなみに、ドイツの首都ベルリンの人口密度は4,012人/平方kmです。

参考:Wikipedia在日ドイツ商工会議所

まちにおける「天」

「天の時、地の利、人の和」という言葉があります。
何事にも、タイミング、環境、人々の融和が重要という意味です。

そのまちが「暮らしやすい」かどうかは、タイミングに左右されるところが大きいです。

タイミングとは、住む人自身のライフステージだったり、そのまちの成熟度・発展度のことです。

例えば、若い独身時代に住みやすいと感じるまちと、高齢になってから住みやすいと感じるまちは異なります。

また、数百年にわたって最高の状態を維持できるまちはなかなか存在しませんが、「良」程度であれば都市計画によってある程度維持することは可能です。

越谷市の駅前再開発は、計画立案から完了まで20年以上かかりました。

フライブルクの環境都市としての地位は、1990年代のヨーロッパ全体での環境意識の高まりがなければ達成できなかったでしょう。

まちにおける「地」

私にとって落ち着けるまちとは、自然の癒し都市の利便性の双方を程よく感じられる場所です。

大都会や観光地からはある程度離れていて、山・川・森・海などの自然へのアクセスが良好な場所が望ましいです。

越谷は東京都心から適度に離れていて、自然も豊富なまちです。

フライブルクは「黒い森」という深い森林地帯に隣接した都市で、近隣に巨大都市は存在していません。

まちにおける「人」

適度に人が集まってくる場所でなければ、まちはいずれ衰退していきます。

人が集まる場所とは、交流施設だったり職場だったりしますが、それらの場所をつくるのも「人」です。
人が集まる場所を増やすためには、行政に頼るだけではなく、住人の起業家精神やボランティア精神が必要になってきます。

人が集まってくれば、趣味が合う人が見つかる可能性も高まり、そのまちの魅力も高まります。

越谷では、まちづくりのボランティア活動が盛んでした。「まちバル」などのまちおこし活動も活発で、自分たちの手でまちを盛り上げよう!という熱気を感じられました。

フライブルクでは、計画段階から市民が積極的に参加していくことで、現在のまちの姿が形作られました。

未来的要素

フライブルクは、すでに私にとっての「暮らしたい未来のまち」を体現していましたが、問題はその場所と言語でした。

友だちを作るにも、私のつたないドイツ語と英語では限界がありました。
生活のための就労という面でも同様の制約があります。

「だったら日本で探せば(or作れば)よいのでは?」
と考えるようになりました。
日本の20~30万人規模の都市、いわゆる中核市は既に「日本のフライブルク」になる潜在能力を持っています。
(例:富山、金沢、松本、岐阜、奈良、松山等)

コミュニティ風車の建設、ZEH(ゼッチ)化、集住化、ごみ処理の排熱利用、バイオマス発電、公共交通の充実、職住近接、治水、育児環境の整備、地価・家賃上昇の抑制策など、やるべきことはたくさんあります。私自身、自分にできることから取り組んでいければと考えています。

※文中の写真は以下のサイトから引用しました。
Freiburg Wirtschaft Touristik und Messe GmbH & Co. KG
Wikimedia Commons
REWE Dieter Schneider OHG
unsplash(Lucas Carl)
unslplash(Mikel Parera)
unslplash(Toa Heftiba)

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