※出展:MONKEY
梅田スカイビル会議室で行われた、エイブル主催の民泊セミナーに行ってきました。
第一部は、とまれる株式会社の三口氏の講演です。
外部環境と民泊のポテンシャル
2015年の訪日外国人数は1975万人。45年ぶりに出国日本人数を超えた。つまり、日本から観光で海外に出て行った人よりも、日本に観光で来る人の方が多くなった。
それでもまだ、日本は観光客数ランキングでは22位。これから伸びる余地があるとも言える。
※出展: 観光局
訪日外国人による経済効果は3.5兆円。
2016/05/02~05/03にかけて、ビジネスホテルチェーンの東横インで、全店舗全室が埋まる(稼働率100%)という事態も発生した。
uber(一般人の車による送迎サービス)やairbnb(一般人の家での宿泊サービス)のようなシェアリングエコノミーによって、遊休資本の活用が進んでいる。
旅行者にとっては、ホテルや旅館より広くて安い部屋に宿泊できるというメリット。
貸主にとっては、賃貸物件として貸し出すよりも収益性が高いというメリット。
民泊(一般人の家での宿泊サービス)は、旅行者と貸主双方にとってメリットがある。
他社動向
民泊の世界最大手はairbnb(エアービーエヌビー)。
利用者は累計で7000万人超え。
日本でも100万人の外国人が既に利用している。2万件以上の宿が登録されている。
旅館業法違反
しかし、airbnbを日本でおこなうと旅館業法違反になってしまう。旅館業の許可が必要。
民泊をおこなうためには、簡易宿所の許可を取る必要があるが、
- 客室数
- フロントの有無
- 床面積
という3つの制限があるため、簡単ではない。
参考:簡易宿所営業の手続きについて|大阪市
対策1:国家戦略特別区域法第13条
東京都、神奈川県、千葉県(一部)、大阪府、京都府、兵庫県等において、
- 滞在日数が7~10日
- 延床面積が25平米以上
- バス・トイレ・冷蔵庫などの施設・設備
上記要件を満たす場合、旅館業法の許可がなくても空き家・空室の宿泊運用が可能となる。
参考:国家戦略特別区域における旅館業法の特例について|首相官邸
ただし、申請に先立って近隣への告知が必要。マンションの一室で民泊をする場合、近隣マンション全戸にポスティングしなければいけないことも。
対策2:簡易宿所の規制の緩和を待つ
簡易宿所は消防法の要件が厳しい。
都市計画法の用途地域の制限も受ける。低層住居系、中高層住居系、工業地域、工業専用地域では旅館業はできない。第一種住居地域では3,000平米を超えない限り旅館業は可能。
第二部はエイブルの小原さんの講演です。
エイブルの民泊への取り組み
部屋を借りた人が、貸主に無断でairbnbをやっていることが多い。問題になっている。
2033年には全国の空室率は30%を超えると予想されている。
かたや、大阪のホテルはいつも空きがない状態。常に90%以上の稼働率。
賃貸と旅館の中間である民泊は、今後有望な市場と見られる。
東京都大田区が民泊特区を始めたが、認可された数はたったの5件。
消防用設備がネックになっている。二部屋以上で民泊を実施する場合、避難誘導灯や火災警報器の設置など、事業者の設備負担が大きい。
民泊の申請手続きには2万円~5万円が必要。
セミナーの内容は以上です。
まとめ
私はドイツ・スウェーデンでairbnbを利用したことがあります。
広い個室に泊まれたこと、ホテルよりもリーズナブルだったこと、広いキッチンを使うことができたことなど、良い記憶しか残っていません。
たまたま私が運が良かっただけという可能性もありますが、日本の旅館業法は行き過ぎた規制としか思えません。
現時点では手間やリスクが大きすぎて、民泊に参入しようとする大家さんは少ないでしょう。
私も民泊を検討してみましたが、
- 特区13条の申請、事業者登録
- 近隣への開業告知・ポスティング
- ウェブサイト・予約システムの構築、クレジットカード決済の導入
- 家具や寝具の準備
- 外国語での設備説明資料の用意
- 宿泊者の保険の問題
- カギの受け渡し
- チェックアウト後のそうじ
- アルバイトの確保
ざっと考えただけでもこれだけのことをしないといけません。やってやれないことはなさそうですが、恒常的に発生する手間を考えると二の足を踏んでしまいます。
一旦検討します。