2016年2月から空室が続いていた神戸の貸家に、入居申込が入った。
空室期間は2月~6月の約5か月となる。
この記事では、築30年という古い中古戸建で入居者を見付けるためのコツ・空室対策の要点を伝えたい。
1)適正な家賃
入居者が賃貸物件に求める条件はいくつもあるが、最も重要な要因は「家賃」だと断言できる。
空室率が高まっている現状においては、自分の物件と似たような条件の競合物件が必ず存在している。それらの競合物件の家賃と比較して自分の物件の家賃が割高なら、内見客を呼び込むことさえ難しい。まずは、周辺の家賃相場に合わせる必要がある。
私の事例
私の物件を例に挙げると、前回募集時(2012年)は周囲に割安な競合が存在していなかったこともあり、比較的高額な家賃を設定することができた。しかし、今年(2016年)に入ってから周辺家賃相場を検索すると、前回の家賃から一万円以上相場が下がっていることが分かった。
そうは言っても、家賃を一度引き下げれば再度値上げするわけにもいかない。ひとまずは様子見ということで、前回の家賃のままで募集を出した。しかし、募集開始から三か月弱(※)が経過しても、内見申込みが一件もなかった。
※入居者の退去は1月末だったため、退去する前の1月頭からインターネットに募集を出した。
このままではマズイと思い、3月末からは家賃を一万円下げ、敷金も一か月分減額して募集を再開。すると内見申込みが次々と入るようになった。
2)適正なリフォーム
原状復旧条項を契約書に組み込んでいたおかげで、入居者が退去時に壁紙の張り替えを実施してくれた。
ただし、壁紙張り替えを実施してくれた箇所は一部の部屋のみで、他の部屋は壁にタバコのヤニや手垢が染み付いていた。
また、入居者が厳冬季にブレーカーを落として数日家を空けてしまい、給湯機が破損していた(※)。
※管理会社の管理責任となるため、管理会社が修理業者を手配して無料で修理してくれた。
これらの汚れている部分や、壊れた設備のリフォームが必要だった。
私の事例
今回の空室対策で掛かったリフォーム費用は約50万円。
この費用には、ベランダ補修の約20万円、キッチン床張り+αの10万円強と、比較的大きな出費が含まれている。
入居者が一年住んでくれれば元が取れる計算なので、それほど無茶な出費ではないと考えている。
以下は、今回の空室対策で実施したリフォーム作業の内訳。
- ベランダ防水工事
- 押入れ床板交換
- キッチン床張り
- 給湯器修理
- 階段に手すり設置
- 出窓の雨漏り補修
- 玄関鍵交換
- 玄関前排水口交換
- センサーライト設置
- 玄関敷居補修
- シャワートイレ設置
- トイレタンク補修
- トイレタイル補修
- トイレットペーパーホルダー掃除
- トイレドアノブ交換
- その他ドアノブ調整
- シーリングライト設置×3
- 風呂場カビ取り
- 風呂場コーキング補修
- 洗面所床掃除
- 洗面所フタの補修
- 洗面所蛍光灯交換
- リビングとキッチンの間に遮熱カーテン設置
- キッチンタイル補修
- キッチン収納中板カッティングシート貼り
- 換気扇掃除×2
- 和室ペンキ塗り×3
- 和室調湿剤設置
- 和室いぐさシート設置
- 窓掃除
- 敷居滑りの補修
- フスマ高さ調整
- 雨戸補修
- 畳のタバコ焼け補修
- 壁のひび割れ・穴埋め
- スイッチカバー交換
- 雨よけ天井補修
- 庭掃除
- 庭木伐採
- 防草シート設置
- 雨どい掃除
※1.~5.は業者に発注。残りはDIY。
3)協力的な仲介業者
一般的な消費者が賃貸物件を探す際、まずは不動産業者・仲介業者に連絡を取る。
不動産会社を通さず、大家自ら入居者募集を行なっているサイトも増えてきたが、まだまだ知名度は低く、登録物件は少ない。内見者・入居者を見付けるためには、仲介業者に物件を宣伝してもらう必要がある。
私の事例
前述の家賃等値下げを実施した際、それまで専任媒介(※1)を依頼していた業者(A社)との契約を一般媒介(※2)に変更。複数の不動産業者を訪問した。
※1「専任媒介」:入居者募集を一社の不動産業者に一任すること。
※2「一般媒介」:入居者募集を複数の不動産業者に並行して依頼すること。
最終的に入居者を決めてくれた仲介業者は、リフォーム業者が紹介してくれた不動産会社(B社)だった。
今回の空室期間では、入居が決まるまでに内見は全部で5件あった。そのうち4件は、B社が連れて来てくれた。家賃値下げの影響もあったかもしれないが、やる気のある優秀な仲介業者が見付かると、内見者は一気に増えるということを実感した。
ただ、内見客は来てくれるものの、入居決定までにはなかなか至らなかった。
5月のGWを超えても空室が続いていたため、更なるテコ入れが必要と判断。B社には、「さらに五千円家賃を値下げしても良い」という意思を伝えておいた。
もともと、空室期間が半年を超えるようであれば、再度値下げしようと考えていたからだ。
前回(2012年)の家賃と比較すると1万5千円の下落となるが、空室のまま何か月も遊ばせておくよりはマシだ。また、前回の入居で購入費はほとんど回収できており、値下げは苦ではない。
結果的には、この家賃値下げ権限を利用して、B社が入居契約を取り付けてくれた。
まとめ
中古物件で空室を埋めるためには、
- 適正な家賃
- 適切なリフォーム
- 協力的な仲介業者
この3点が必要と言える。
この記事があなたの空室対策に少しでも役に立てば、ありがたい。