不動産購入後に届出が必要になる面積は?国土利用計画法による制限

国土利用計画法

kokkosyoh
※出展:国交省

国土利用計画法とは、土地の高騰を抑えるために昭和49年(1974年)に作られた法律です。投機的取引を監視する役割があります。
大規模な土地取引(2,000平米以上)をした場合、買主は2週間以内に都道府県知事へ事後届出をする必要があります。
※市街化区域の場合。

2000平米というとかなりの広さなので、中古戸建や木造低層アパート中心に不動産投資を行っている場合にはあまり関係ないかもしれません。
とはいえ、不動産投資をしていると大規模な土地を扱う可能性もないとは言い切れないので、知っておいて損はないでしょう。

ほとんど使われずじまい

バブル崩壊以降、日本の不動産価格の高騰はストップしています。
そのため、実際に使われることはほとんどありませんでした。
平成10年(1998年)に法改正が行われ、事後届出制度が主流となりました。

国土利用計画法の概要

原則

市街化区域では、大規模な土地取引(2,000平米以上)をした場合に、2週間以内に都道府県知事への事後届出が必要です。
市街化調整区域および非線引き都市計画区域では5,000平米以上の場合、準都市計画区域・都市計画区域外・準都市計画区域外では10,000平米以上の場合に事後届出が必要です。

届出内容は以下の項目です。

  1. 契約当事者の氏名・住所等
  2. 契約締結年月日
  3. 土地の所在地及び面積
  4. 土地に関する権利の種別及び内容
  5. 土地の利用目的
  6. 対価の額

※出展:合格しようぜ! 宅建士 2016 音声付きテキスト&問題集 上巻[宅建業法・法令上の制限]。以下、出展元の記載がない場合は同著からの引用。

例外

1. 注視区域

地価が一定の期間内に社会的経済的事情の変動に照らして相当な程度を超えて上昇し、または上昇の恐れがあるものとして国土交通大臣が指定する基準に該当し、適正かつ合理的な土地利用の確保に支障が生ずる恐れがある区域について、都道府県知事が指定する。

注視区域に該当する場合、売買契約締結前に利用目的などの一定事項を都道府県知事に届け出なければいけません。
事前届出から6週間経過するまでは、契約を締結できません。
対象となる面積は「原則」の場合と同様です。
(市街化区域では2,000平米以上等)

2016年3月現在、注視区域に指定された場所はありません。

2. 監視区域

地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となる恐れがある区域について、都道府県知事が指定する。

監視区域に該当する場合、売買契約締結前に利用目的などの一定事項を都道府県知事に届け出なければいけません。
事前届出から6週間経過するまでは、契約を締結できません。
対象となる面積は各都道府県が別個に定めます。

2016年3月現在、監視区域に指定された場所は東京都小笠原村の一か所のみです。

3. 規制区域

投機的取引が集中して行われ、または行われるおそれがあり、地価が急激に上昇し、または上昇する恐れがある区域について、都道府県知事が指定する。

売買契約締結前に、都道府県知事から許可を受ける必要があります。
許可を受けていない契約は無効となります。

2016年3月現在、規制区域に指定された場所はありません。

まとめ:注視・監視・規制区域は眠っているだけ

監視区域については小笠原村が対象になっていますが、それ以外の注視区域・規制区域については、法律施行後一度も設定されていません。
法律を作ったはいいものの、取引抑制効果があまりにも強すぎるため、持ち腐れ状態になっています。

今後の人口増が見込めない日本においては、二度と出番のない法律かもしれません。
とはいえ、土地の高騰が今後永遠に無いとは言い切れません。
万が一将来、土地が高騰し始めた際には、「注視区域」「規制区域」という言葉に注意する必要があります。
これらの言葉がニュース等で触れられるようになったら、土地の暴落は近いと思っておいた方が良いでしょう。

タイトルとURLをコピーしました