築年数の古い中古戸建を購入した場合、リフォームを欠かすことはできない。
安値で購入できる中古物件は、長年放置されていることが多く、「これでもか」というほどに汚れていたり、傷んでいたりする状態が普通だ。そんなひどい状態でも、家賃を極端に安くすれば入居者が見付からないわけではない。
しかし、リフォームをすることで、何もしない時と比べて毎月の家賃を1~2万円上げることは可能である。
仮にリフォームに20万円掛かったとしても、入居者が2年借りてくれれば元は取れる。それ以降は利益が増える一方だ。
私自身、DIY(日曜大工)で中古戸建のリフォームを実施することが多い。DIYの材料はホームセンターで調達する場合がほとんどで、ホームセンターがなかったらこの仕事は成り立たないのではないか、と思う時さえある。
この記事では、10年以上のホームセンター通いで私が何度も購入している、DIYおすすめ商品を紹介する。
ホームセンターのおすすめ商品トップ10
※ ランキングはあくまで個人の主観。
10位 下塗り剤
参考価格(税抜):「超耐水パワーテック」4kg 2,840円
古い家には和室が多い。
和室の壁は、劣化すると自然にポロポロとはがれて落ちてくる。壁に凸凹ができるため、ホコリや汚れが壁にたまりやすくなる。頻繁に掃除が必要となり、見た目も当然悪くなる。古い和室の壁をそのままにしておくと、内見者への受けは非常に悪いものとなる。
和室の壁の清潔感を保つためには、ペンキで塗装するのが最も手軽な方法だ。
ただし、劣化した和室壁にそのままペンキを塗ると、壁材そのものがはがれてしまう可能性がある。また、和室壁は吸水性が高いため、大量のペンキが必要になってしまう。
上述したような問題を避けるために、下塗り剤が必要となる。ペンキを塗る前の下地として使うのだ。上で採りあげた「超耐水パワーテック」4kgは、6畳の和室壁を2度塗りするには充分な量だ。
「超耐水パワーテック」以外にも、「ヤニアクどめシーラー」という下塗り剤もある。
こちらの「ヤニアクどめシーラー」2kgで塗れる壁の量は約6平米だ。「超耐水パワーテック」4kgの約24平米と比べると、コストパフォーマンス面では見劣りする。
9位 換気扇
参考価格(税抜):「YK-20」20cm 3,480円
何十年ものあいだ掃除しないまま放置された換気扇の汚れは、「恐怖」と形容するのがふさわしい場合もある。
換気扇を掃除して再利用することも可能だが、掃除の手間や油汚れと格闘する不快感を考えると、新しい換気扇に交換した方が精神衛生上望ましい。
換気扇にはサイズがいくつかあるため、新しいものを購入する前に穴の大きさを確認しておく必要がある。
8位 カーテンランナー
参考価格(税抜):10個入り 168円
カーテンを下げるための「カーテンレール」自体がない場合、まずはカーテンレールを購入する必要がある。
カーテンレールを設置せず、入居者にカーテンレールを用意してもらうという方法も取れないわけではない。しかし、必要な設備を用意せず入居者任せにするという手法は、内見者・入居者に確実に悪い印象を植え付けてしまう。
カーテンレールは一本二千円~三千円程度で購入可能で、一度設置すればその後何年にもわたって利用することができる。相当乱暴な使い方でもしない限り、十年以上使い続けることも可能だ。
「カーテンレールはあるがカーテンをぶら下げる部分が壊れている」という状態が発生することもある。そんな時に役に立つのが、この「カーテンランナー」だ。
カーテンレールの端の留め具を外すことで、カーテンをぶら下げる部分=カーテンランナーを交換することができる。カーテンレール自体を交換すると二千円~三千円掛かってしまうが、カーテンランナーの交換だけで済むのであれば十分の一以下の費用で修理ができる。
7位 クッションフロア
洋室の床に洗っても落ちないほどの汚れが付いていたり、穴が開いていたりした場合、床の貼り替えを検討しなければいけない。
しかし、床の貼り替えを一般的なリフォーム業者に依頼すると、6畳一部屋で十万円近くの費用が掛かる。
洋室の床のリフォームを安上がりに仕上げたい場合の切り札がクッションフロアだ。
ロール状で販売しており、店員さんに必要な長さを伝えればその場でカットしてくれる。一般的な6畳部屋のサイズ「260cm×350cm」に必要な長さを購入したと仮定すると、上記参考価格で計算した場合の費用は7,696円(税抜)だ。クッションフロアと床を接着する両面テープなどの必要備品を購入しても、合計約一万円で済む。
ただし、床がギシギシ鳴る場合や、大きくへこんでいる場合などは、傷んでいる箇所だけでも張り替えた方が良いだろう。
6位 いぐさシート
参考価格(税抜):6畳(261cm×352cm) 4,980円
古い家の和室の畳はあまりにも年季が入り過ぎていて、表替えや裏返し(※)では対応不可能な場合が多い。
※「表替え」は、畳本体はそのままにして、表面だけ張り替える修繕方法。「裏返し」は、表面のいぐさを裏返して利用する手法。どちらの手法も畳全体を交換するよりも安上がり。
だからと言って、6畳の部屋の畳を全て交換すると十万円近くの出費になってしまう。十万円もの費用を支払うのであれば、フローリングに張り替えた方が望ましいと考える人がほとんどだろう。
畳の上にカーペットやクッションフロアを敷くという方法もあるが、それではダニやカビの繁殖を助長してしまう。畳の交換も、フローリングへの張り替えも、ダニやカビの繁殖も、全て避けたい場合はどうすればよいのか?
既存の畳を活用して、その上にいぐさシートを敷くという方法がある。
ある意味「先延ばしリフォーム」とも言える手法だが、少なくとも見た目の悪さは改善される。次の退去のタイミングを見計らって、フローリングへの張り替えを実施するまでの「つなぎ」的なリフォーム手法と言えるだろう。
5位 防草シート
※出展:日本農業システム
参考価格(税抜):1m×10m 1,080円
中古戸建のリフォームで最も厄介な作業の一つが、「庭の草取り」だ。
数年間放置されている空き家の庭は、2m近くの高さの雑草(雑木)で覆われていることもある。必死になって草取りを実施したとしても、ひと夏でも放置すれば腰の高さまでの雑草がびっしりと生い茂ってしまう。
庭の広さや状態にもよるが、雑草の処分を業者に依頼すれば五~六万円は確実に必要だ。大家自ら草取り作業をすれば、剪定用のハサミやカマなどの除草用具を用意すればよいだけなので、出費はせいぜい数千円で済む。しかし、照りつける陽射しの中、背丈ほどの雑草の群れと格闘するには、かなりの体力が必要だ。スズメ蜂などの害虫への注意も必要となる。
雑草の処分を怠れば、内見者は、
「この家はマトモに管理されてないな…」
と認識してしまうだろう。
いつまでたっても入居が決まらないか、大幅な値下げ交渉の対象となってしまうことは確実だ。
このような負の連鎖を防ぐアイテムが「防草シート」だ。
本格的な夏が来る前に一度草取りをしてから防草シートを敷いておけば、雑草の成長を相当程度抑制できる。
当然メンテナンスフリーになるわけではない。1~2か月に一度、シートの下で伸びている草を刈り取る必要はある。しかし、シートが日光を遮ることで雑草が土に根を下ろす力が弱くなり、雑草を手で引き抜くのも簡単だ。雑草の伸びる長さも面積も、シートを敷いていない時に比べれば圧倒的に少なくなる。
4位 壁埋めパテ
※出展:セメダイン
参考価格(税抜):300g 798円
壁埋めパテを使えば、和室の壁のひび割れや穴の開いた箇所などを簡単に埋めることができる。
壁にペンキを塗る前に、壁埋めパテを使って太いヒビや大きな穴を埋めておくことで、違和感のない仕上げが可能となる。
壁の他にも、古いエアコンやTVアンテナ線を撤去した後の穴などを埋める際にも利用できる。
3位 ペンキローラー
※出展:コーナン
参考価格(税抜):225mm 658円
壁のペンキ塗りには欠かせないペンキローラー。
多くのホームセンターでは、175mmと225mmの二種類の幅のローラーを売っている。広い範囲を塗る際には、幅の広い225mmの利用が効果的だ。幅の狭い175mmは小回りが利くため、隅や狭い場所を塗る際に役に立つ。
ペンキ塗りの際にはローラー以外にも、
- ハケ
- トレイ
- バケツ
- ペンキ
なども必要になる。
2位 マスカー・養生テープ
マスカー。
※出展:コーナン
参考価格(税抜):550mm×25m 118円
ペンキ塗りで最も重要な作業が「養生」だ。
「養生」とは、汚したくない床や建具などにペンキが付いてしまわないために、保護をする作業のことだ。広い部屋では、養生作業だけで丸一日掛かってしまうこともある。
養生の際にとても役に立つ品が「マスカー」だ。マスカーは、折りたたまれたビニールがテープにくっついている構造をしていて、ハサミで切って好きな長さだけ使うことができる。
私が初めてペンキ塗りをした時は新聞紙を床に敷き詰めていたが、新聞紙には、
- 垂れたペンキの量が多いと紙を貫通してしまう。
- 破れて穴が開いてしまう。
- 新聞紙同士をテープで張り合わせないといけない。
このようなデメリットがある。新聞紙の代わりにマスカーを使うようになってからは、作業効率が飛躍的に向上した。
マスカーと同じく、養生に必要な道具が「養生テープ」だ。
見た目はガムテープと似ているが、粘着力が弱いので、はがしやすいという特長がある。ペンキを塗った後は、乾かないうちに養生テープやマスカーをはがす必要がある(※)ので、粘着力は弱い方が都合が良い。
※ペンキが乾くと、養生テープをはがす際に壁のペンキも一緒にはがれてしまう。
1位 スイッチカバー
中古住宅では、コンセントやスイッチが汚れていたり壊れていたりする場合が多い。
この「スイッチカバー」を使うことで、コンセントやスイッチを新しく生まれ変わらせることができる。以下に交換例を挙げる。
スイッチカバー自体は一個100円と圧倒的に安い上に、取り換え作業も簡単だ。
家じゅうのスイッチカバーを交換しようとすると、何十個も購入する必要がある。その場合、ホームセンターの在庫では足りないこともある。私は合計40個ほど購入しようとしたことがあるが、案の定在庫切れだった。取り寄せには約一週間掛かった。
なお、コンセントやスイッチ本体が壊れていたり、市販のスイッチカバーをはめられない旧式の本体だった場合は、本体そのものを取り換える必要がある。コンセント本体の交換には電気工事士の資格が必要となる。
この記事の「おすすめ商品」の選定基準
首都圏で暮らしていると、ホームセンターを目にする機会はほとんどない。
しかし郊外に出れば、ありとあらゆる場所にホームセンターが存在している。それだけ、ホームセンターを利用している消費者が多いということだ。
多くの一般消費者がホームセンターを利用する理由は、
- 安く家を直したい。
- 時間があるので自分でやってみたい。
この2点に集約されるのではないだろうか。
大工や工務店などの専門業者もホームセンターを利用しているが、DIY(日曜大工)が身近になってきた最近では、一般消費者の割合も増えている。一般消費者にとってインパクトドライバーや丸ノコなどの業者向けの専門道具は、新鮮味があり、見ているだけでも飽きない。もしかしたらホームセンターには、軽い「テーマパーク」のような要素があるのかもしれない。
この記事で紹介したホームセンターの「おすすめ商品」の基準は以下の2点だ。
- コストパフォーマンス
- 利用頻度
最後に
ここで紹介した商品を見て、私のDIYスキルについても想像がついた方もいるかもしれない。
想像の通り、私は床張りや間取り変更などの本格的な大工工事については経験が少ない。DIYで和室を洋室化したことは過去に一度しかない。手間やリスクを考えると、業者に発注した方が得と判断して今に至っている。
空室物件で本格的に洋室化に挑戦してみようかとも考えたこともあったが、幸か不幸か、資材調達前に入居が決まりその機会も失われてしまった。また機会があれば、DIYスキルを伸ばしてみたいとは考えている。
この記事があなたのホームセンター活用に少しでも役に立てば幸いである。よいホームセンターライフを!
※参考価格はホームセンター「コーナン」での店頭価格。2016年6月調査。