旧統一教会が話題です(下火になりつつありますが)。
多田氏は大学4年時に友人からバレーボールに誘われた。その後、喫茶店で自己啓発に興味がないかと言われたという。多田氏はそのバレーの大会を主催していた人たちはほとんどが旧統一教会員であり、「新しい人は2人か3人くらいで、あとは旧統一教会の信者」と話し、いわば勧誘のためのダミーサークルだったと言えるだろう。
当時、大学4年生だった多田氏は就職に対する不安があった。相手からは「視野を拡げるために国際人にならなきゃいけない」と言われ、世界で一番読まれている「聖書」の勉強会へ誘われる。それは「聖書」の勉強ではなく、旧統一教会の教義を教え込まれており、「頭が全部統一教会の教えになったころに、初めて『実はここは統一教会なんだよ』と(明かされる)。だからもう逃れられない」と洗脳のステップを暴露した。
少し前の話ですが、青森の住宅会社でのパワハラのニュースもありました(その後和解)。
痛ましい話です。自殺する前になぜ辞められなかったのでしょうか。一種の洗脳状態だったのかもしれません。
■洗脳の3つの段階
洗脳は3つの段階で進行すると言われています。
- 解凍
- 変革
- 再凍結
解凍は、それまでの価値観を否定される段階です。具体的には、恫喝や脅迫、人間関係の断絶・孤立などを通じて行われます。
変革は、新しい価値観を植え付ける段階です。集団セミナーや教義の唱和などが用いられます。
再凍結は、新しい価値観を信念に変える段階です。信者に路上での勧誘活動などをさせて、経済的・心理的自立心を奪います。
■洗脳職場
例えば、以下のような職場では「洗脳」が行われているとも考えられます。
1.解凍
パワハラや暴言が横行する職場。
例えば上司が「バカ。」とか「社会人失格。」といった悪口で周囲を罵倒し、自分と意見の異なる部下に対して「違います。」とか「だーかーらー!こうしろって言ったでしょ?!」などと強く否定する状況。
残業・休日出勤続きで、会社以外の人間関係を作れない状態。
これらは「1.解凍」にあたります。
2.変革
上司に職場環境の改善を提案しても、「それはすでに私が提案済です。」と即座に否定・却下されたり、そもそも上司と相談する機会すら設けられていない職場。
「酒の場で物事は進むのだから、あなたも突破力(飲みニュケーション力)を身に付けなさい。」といった、遠い過去の成功体験に基づいた説教。
発言力の大きい人が一方的に話すだけで、発展や意義を感じられない会議。
共感しがたい社訓の唱和。
こういった状況は「2.変革」に該当します。
3.再凍結
社員が皆、状況改善の意欲を失ってしまっており、
「この職場では何を言っても無駄。」
「自分にはこれ以外にできる仕事ないから。」
「我慢するしかない…。」
といった発言をするなど、あきらめムードが蔓延している職場。
昇進・昇級などの待遇改善のハードルが高すぎて、がんばってみようという気持ちにすらならない環境。
心身ともに疲弊して、仕事を無難に終わらせることだけを考えるようになってしまっている状態。
これらは「3.再凍結」に当てはまります。
■洗脳の解き方
洗脳から脱するのは容易ではありません。
まずは、冷静な判断や情報収集のためにも休養が必要です。その上で、過去の経験を客観的に振り返り、好ましい価値観へと「再洗脳」を行わなければなりません。家族や友人としてできることは、否定も肯定もしないことです。最終的には、洗脳されている本人の行動に頼るしかありません。
「洗脳職場」を変えようと努力することも尊いですが、転職する方が現実的です。もしあなたが「自分には転職なんてムリ…」とあきらめているのであれば、自分と似たような年代・職種・業種の人の転職例を調べてみると参考になるでしょう。