お金の使い方で幸福度は変わるのか

「幸せをお金で買う」5つの授業

お金の使い方で幸福度は変わる、という研究についての本。

幸福度上昇に寄与する5つのお金の使い方

本書の提唱する「幸福度上昇に寄与する5つのお金の使い方」とは、
1) 体験を買う(モノではなく)
2) 時間を買う(時間節約につながる商品を買う)
3) 他人に投資する(寄付やボランティアや人助け)
4) 先払いする(サービス利用時には既に支払いが済んでいる)
5) 購入の頻度を減らす(「ご褒美にする」という訳がしっくりこなかったので私流に解釈)
の5つ。

5つの原則の根拠としての研究調査

この5つの原則は、数百人〜数千人への追跡調査や研究に基づいている。
例えば、
・ドイツでの1991年〜2007年にかけての新しい家に引っ越した人への満足度調査。
・アメリのオハイオ州に住む600人以上の女性を対象にした幸福度調査。
・アメリカ国民を対象にした収入と満足度の比較調査。
・ウィスコンシン大学による50才以上への支出と幸福度の関連調査。
のようなもの。

これらの調査結果から分かることとして、
・新しい家を買うことによって幸福度が増す証拠はほとんどない。
・55,000ドルの収入の人の満足度は、25,000の人より9%しか増えていない。
・マイホーム所有者は賃貸住宅に住む人々より幸福ということはないが、体重は6キロ重い。
・モノよりもレジャーに多くのお金を使う人の方が満足度が明らかに高い。
などを挙げている。

幸福と個人とお金の三角関係

「幸福」という主観的な感情に法則や公式は成り立たないのではないか?と一瞬身構えてしまうタイトルの本ではある。「こういう風に生きればあなたは幸せになれますよ!」と言っている人はあまりにも胡散臭い。もちろん本書は生き方を押し付ける類の書籍ではない。単純に、大多数の人を調査した結果、人間の心理にはこのような傾向がありますよ、という事実を伝えているだけの本だ。

私が違和感を感じた理由は、個人主義者だからなのかもしれない。「幸福」という言葉は最高の価値の一つだが、「幸福かどうか」は個人の気持ちによる。私自身は、お金があることが幸せにつながるとは思わないが、お金が全てと考えている人も世の中にはいるだろう。その人の考え方も否定することはできない。結局、幸福は個人差としか言いようがない。

お金に困っているわけではないけどなんだか物足りない、という人はとりあえず一読しておいて損はない書籍だと思う。


「幸せをお金で買う」5つの授業 (中経出版)