高層ビルが容積率に引っ掛からないのは敷地に充分な空地を確保しているから

物件情報を見ていると、「容積率」「建ぺい率」という項目が出てくる。
occupation-ratio
※出展:健美家

「建ぺい率」は、敷地面積に対して建築可能な床面積。
「容積率」は、敷地面積に対して建築可能な合計床面積(※)のことだ。
※合計床面積=「延床面積」(のべゆかめんせき)。

以下、「容積率」と「建ぺい率」について説明する。

容積率とは

容積率とは、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合を言う。

※出展:「建築基準法の基本と仕組みがよ~くわかる本」(不動産・建築行政法規研究会 著)。以下、出展の記載がない場合は同書が出展元。

例えば、敷地面積が100平米の土地に、建物面積(延床面積)200平米のアパートを建てるのであれば、200%の容積率が必要となる。

前面道路の幅による容積率の制限

容積率は前面道路の幅によって制限される。
※前面道路の幅が12m未満の場合。

前面道路の幅と以下の数値を掛け合わせる。

第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
0.4
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
0.4(※1)
その他の用途地域 0.6(※2)

※1:特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内は0.6
※2:特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内は0.4または0.8

例えば、

  • 第1種低層住居専用地域
  • 容積率200%
  • 前面道路の幅が4メートル

という土地の場合、4メートルに0.4を掛け算すると1.6(160%)という数値になる。
都市計画上の容積率「200%」と、前面道路の幅から算出された容積率「160%」を比較。
前面道路の幅から算出された容積率「160%」の方が小さいので、「160%」がこの土地の容積率として採用される。

容積率算定の特例

以下の床面積に関しては、延床面積から除外される。

  1. 地下室(合計床面積の1/3)
  2. 共同住宅の共用部分
  3. 車庫(各階の床面積の1/5)

その他、セットバック(※)により後退した部分は敷地面積から除外される。
※前面道路の幅を確保するため、道路と敷地の境界から一定の距離後退(セットバック)して建築すること。

建ぺい率とは

建築物の建築面積の敷地面積に対する割合。
つまり、建ぺい率が100%であれば、敷地との境界線に至るまで目一杯に建築物を建築できる。
対して、建ぺい率が50%であれば、敷地面積の半分しか建築面積として利用できないことになる。敷地内に空地が作りされる。

建ぺい率の緩和

建ぺい率80%の地域以外で、防火地域内にある耐火建築物の場合、建ぺい率に10%を加算することが認められている。
また角地の場合も、建ぺい率に10%プラスすることが可能。
さらに、次の3つに当てはまる場合は建ぺい率の制限がない(つまり建ぺい率100%)。

  1. 建ぺい率80%の地域内かつ防火地域内。
  2. 派出所、公衆便所、公共用歩廊等。
  3. 公園、広場等の内にある建築物で、特定行政庁が安全・防火・衛生上支障がないと認めて許可したもの。


高層ビルは容積率をオーバーしていないの?

motoazabu

都心には、高層ビルやタワーマンションなど何十階建てもの建物がひしめき合っている。
1フロア分の床面積が敷地面積の半分(50%)だったとして、50階建てのビルの場合、単純計算で2500%もの容積率が必要になってしまう。
商業地域でも容積率の最高値はたったの1300%。容積率は大丈夫なのだろうか。

解決の糸口は、

  1. 高度利用地区
  2. 特定街区
  3. 特定容積率適用地区

という3種類の特殊な地区にある。

「高度利用地区」とは?

現在は低層住宅が数多く建っていて開発が進んでいないが、今後は高層ビルの開発予定がある地区を「高度利用地区」と呼ぶ。
都市計画法第8条に規定されている「地域地区」のひとつ。
容積率は200%~800%。

東京の「六本木ヒルズ」や「晴海トリトンスクエア」がこの地区に該当する。

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※出展:京都市

「特定街区」とは?

都市再開発の方針において、再開発促進地区又は再開発誘導地区として位置付けられている区域を「特定街区」と呼ぶ。
敷地内に設ける空地の規模や緑化の状況などに応じて、容積率が加算される。

西新宿の高層ビル街や、池袋サンシャインシティ、横浜のランドマークタワーなどがこちらに該当する。

tokyo-special-area※出展:東京都

「特定容積率適用地区」とは?

上の図では、「新丸ビル」の「1760%」という容積率が目立つ。
これほど高い容積率が認められている理由は、東京駅の「空中権」を利用しているからだ。
このような地区を「特定容積率適用地区」と呼ぶ。

東京駅敷地の利用されていない容積率=空中権を三菱地所が購入したため、新丸の内ビルの敷地は特定容積率適用地区となった。
新丸の内ビル敷地の容積率は1760%、東京ビル敷地は1720%となっている。
※出展:久保井総合法律事務所

容積率の制限はせいぜい1700%

以上見てきたように、日本でも最高水準の容積率は「新丸ビル」の敷地で1760%だ。

結局、日本の高層ビルはどうやって容積率の制限をクリアしているのだろう?
敷地面積と延床面積を調べたら答えが分かった。

名称 地上階数 敷地面積 延床面積 容積率概算
横浜ランドマークタワー 70階 38,062 392,885 1,032%
新宿三井ビル 55階 14,449 179,579 1,242%
新丸の内ビル 38階 10,021 195,490 1,950%

※面積は「平米」。出展:Wikipedia

なんのことはない。
高層ビルは、敷地に空地を大きく設けることで、容積率が1000%程度で収まるようにしていたのだ。
新丸ビルに関しては、地下や車庫の容積率緩和制度を利用しているものと思われる。

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