不動産を購入する際に受け取る書類には、「契約書」と「重要事項説明書」の2種類があります。
※「一般媒介契約書」は省略される場合あり。
※出展:全日本不動産協会
私の場合、買付が通るとリフォームのことで頭がいっぱいになってしまう傾向がありますが、契約書や重要事項説明書の確認も不動産投資には欠かせない作業です。
この記事では、「契約書」と「重要事項説明書」の違いについて紹介します。
契約書(37条書面)とは?
1)宅建業者は、自ら売買の当事者として契約を締結した時はその相手方に、売買・賃借の代理・媒介で契約を成立させた時はその両当事者に、遅滞なく契約内容を記載した書面を交付しなければならない。
2)宅建業者は契約書面を作成したときは、取引士をして、契約書面に記名押印させなければならない。
※出展:合格しようぜ! 宅建士 2016 音声付きテキスト&問題集 上巻[宅建業法・法令上の制限]
契約書のポイント
時期 | 契約成立後、遅滞なく |
---|---|
契約書に記名押印する人 | 宅地建物取引士 |
契約書を交付する相手 | 契約の両当事者(売主・買主、貸主・借主) |
契約書を交付する人 | 宅地建物取引士でなくても可、郵送可 |
説明義務 | なし |
記載事項
1.必ず記載しなければならない事項
A) 当事者の指名・住所
5W1Hで言うところの、「Who」(誰)にあたる情報です。
B) 物件を特定するために必要な表示
「What」(何を)、「Where」(どこの)にあたる情報です。
C) 代金や借賃の額、支払時期、支払方法
「How much」(いくら)にあたる情報です。
D) 引き渡しの時期
「When」(いつ)にあたる情報です。
E) 移転登記の申請の時期
こちらも「When」(いつ)にあたる情報です。
賃借の契約書では不要です。
2.定めがあるときのみ記載する事項
「定め」とは、契約者の「特約」にあたる部分です。「ローン特約」などがこれにあたります。
ローン特約とは、不動産を購入するに当たって、買主が売買代金を金融機関などからの融資を利用することを前提に売買契約を締結し、融資の全部または一部について承認が得られなかった場合には、その売買契約を無条件で白紙解除(解除条件)したり、契約を解除することができる(解除権の留保)との条件を約定することをいいます。
※出展:不動産適正取引推進機構
A) 代金・借賃以外の金銭の授受の定めがあるときは、その額・授受の時期・授受の目的
重要事項説明書と重複して記載されます。
賃借の場合も必要です。
B) 契約の解除に関する定めがあるときはその内容
重要事項説明書と重複して記載されます。
賃借の場合も必要です。
C) 損害賠償の予定・違約金に定めがあるときはその内容
重要事項説明書と重複して記載されます。
賃借の場合も必要です。
D) 代金についての金銭の賃借のあっせんに関する定めがある場合においては、ローンが成立しない場合の措置
重要事項説明書と重複して記載されます。
E) 瑕疵担保責任の履行措置について定めがあるときはその内容
重要事項説明書と重複して記載されます。
F) 瑕疵担保責任についての定めがあるときはその内容
本項目「瑕疵担保責任についての内容」については、重要事項説明書に記載されません。「瑕疵担保責任の履行措置」と似ているので、注意が必要です。
G) 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め(危険負担の特約)があるときは、その内容
賃借の場合も必要です。
H) 租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
固定資産税の日割り計算などが含まれます。
「契約書」と「重要事項説明書」の違い
「重要事項説明書」では、法令上の制限や権利や防災情報などが中心でした。
一方、「契約書」では、金額や引き渡し時期などが中心となっています。
契約解除や違約金やローン特約などについては、「契約書」と「重要事項説明書」の両方で触れられています。それぞれの書類で重視する項目が異なり、特に重要と思われる項目に関しては両方の書類で説明する形を取っています。
「お金の支払いに関すること」は契約書を、「長期的に注意すること」については重要事項説明書を、という風に目的に応じて別々の書類を参照する必要があります。