原状回復業者の視点から見た不動産投資:「勝ち組大家さんの高収益アパマン経営マニュアル」

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※出展:クロス張替え屋さん

この記事では、原状回復工事会社の経営者による著書を参考に、不動産投資で高収益を得るためのヒントを紹介する。

自主管理 VS 管理委託

戸建賃貸や区分所有の場合は、遠方でも「自主管理」で大丈夫だと思いますが(それでも、その地元の各種業者のネットワークは築いた方がいいですが)、集合住宅で地方物件の場合なら、管理会社に委託した方が、間違いなく大家さんにかかるストレスは軽減されます。
自主管理が普通だった昔ながらの地主系大家さんの場合でも、管理を委託するケースが増えてきているのも最近の傾向です。
(中略)
新興大家さんの場合、ただ単に「管理手数料」を軽減できるから「自主管理」をしようという発想をされる方がいますが、その方がアパマン経営を始めようとした動機は何だったのでしょう。
新興大家さんの多くは、豊かな生活を送るための、投資の一環として「アパマン経営」を実践されたのだと思います。
管理料という代償を支払う代わりに、管理に携わる時間を別のことに活用できるのです。
そのことを忘れてはいないでしょうか。

※出展:勝ち組大家さんの高収益アパマン経営マニュアル(著:工藤一善)。以下、引用部分は本書から。

原状回復工事業者という立場からのポジショントーク(※)に見えなくもないが、自主管理は意外と負担が大きいというのは紛れも無い事実だ。
たかだか数千円をケチって、入居者からの問い合わせに24時間365日対応しなければいけない状況に陥ってしまうのでは、本末転倒だ。
※「ポジショントーク」とは、自分に都合よく物事を解釈する、または自分に利益が出るように他人を説得する話法。

管理会社はこんなにも多忙

管理会社の日常業務:

  1. 入居希望者へ空室のご案内
  2. 他社から管理物件の問い合わせの際の「マイソク」FAX送信
  3. 契約業務
  4. 契約更新業務
  5. 賃料改定、契約条件変更の交渉
  6. 契約更新の事前通知業務
  7. 既存入居者からのトラブル、クレームの連絡
  8. 工事部門がない場合、必要に応じて初期対応
  9. サポート会社に補修の依頼の連絡
  10. 家賃の入金確認
  11. 家賃の大家さんへの送金
  12. 滞納者への家賃支払い督促
  13. 退去の受付
  14. 退去立会い
  15. 敷金精算書作成
  16. 敷金返金、または不足金請求
  17. 水道メーターが集合メーター式の場合、各戸のメーター確認
  18. 大家さんへの収支報告書の作成
  19. 大家さんからの節税対策の相手
  20. 大家さんからの相続対策の相手
  21. 大家さんからの大規模修繕の相談相手
  22. 大家さんに空室対策の提案
  23. 大家さんに大規模修繕の提案
  24. 大家さんにバリューアップの提案

管理会社の業務は、ざっと上に挙げただけでも20種類以上にわたる。
もっと細かい内容や各社特有の業務なども含めれば、100種類以上にものぼるだろう。

「管理会社が動いてくれなくて・・・。」とボヤいている暇があるのであれば、管理会社に世間話をしに行く時間を減らしたり、管理会社の業務を楽にしてあげるために動くなど、管理会社の担当者が本来の仕事(空室対策等)に注力できるようにしなければいけない。

「連絡がすぐにつく大家さん」はポイントが高い

「連絡がすぐにつく大家さん」は、好かれる大家さんになる要素だと思います。
例えば、サラリーマン大家さんで日中は電話に出られなくとも、奥さんか家族の人に対応してもらう方法もあると思います。

または、結構な規模の大家さんの場合、どうしても頻繁に管理会社さんから連絡があると思います。
その場合、「代行秘書サービス」を頼めば、電話の受け答えをしてもらえ、その結果をメールで転送してくれるサービスが活用できます。
客付けの際の家賃交渉や、入居条件の交渉の際、連絡がすぐにつく大家さんと、連絡がつきづらい大家さんとでは、大家さんランキングの差が大きく開いてしまいます。

私はサラリーマン大家をしていた時、管理会社からの電話にリアルタイムで出られることはほとんどなかった。
管理会社からすれば「またあの大家さん電話出ないよ!」という気持ちだったのかもしれない。
昼休みや休憩時間で折り返すようにしていたが、それでも反応が遅いことには変わりはない。

秘書代行サービスは月5,000円程度で利用可能な会社もある。
管理会社等からの電話が多い大家さんは、秘書代行サービスの利用を検討してもよいかもしれない。

絶対に必要な3業者

自主管理の大家さんの中には、ご自分をサポートしてくれる多数の業者さんをネットワークしている大家さんもいると思いますが、少なくとも、

  • ガラス屋さん
  • 鍵屋さん
  • 水道屋さん

この3つの業種の、物件近くで営業している専門業者さんは事前に調べておいた方がいいと思います。

自主管理するにしても管理委託するにしても、リーズナブルな料金で信頼できる業者は知っておいて損はない。
上記で挙げた3業者は、突発事故・緊急事態へ対応してくれる業者だ。

窓ガラスを割って泥棒が侵入した場合や、強風で窓が割れてしまった場合。
入居者がカギを紛失してしまって家に入れない場合。
水道管の破裂、給湯やトイレの不具合が発生した場合。

このような緊急事態に即時対応できるかどうかが、入居期間の短期化・長期化の分かれ目になることは多い。

敷金精算の基本的な流れ

解約通知書の受け取り

退去日(明け渡し日)の確定

退去立会い日の確定(退去日と同日の場合もあり)

退去立会い(使用状況確認、不具合箇所確認、故意の汚損・破損の確認他)

原状回復工事見積書作成

敷金内での精算の了解、借主・貸主双方の負担割合の了承

敷金精算書の作成

原状回復工事発注

原状回復工事完了

敷金内で処理できる場合、原状回復工事の請求書と敷金精算書を送付

借主、貸主双方またはどちらかに費用負担がある場合は、工事終了後請求業務を行う(着工前に請求するケースも多い)

賃貸物件を探したことのない大家が9割という現状を考えると、敷金精算の流れを把握している人もそう多くはないのではないだろうか。
備忘録的に引用部を掲載しておく。
しょっちゅう引っ越していたり、退去に慣れている大家さんであれば、既に理解している内容ではある。

原状回復工事参考価格表

内装

クロス張替え 850~1,300円/平米
CFシート張替え 2,000~3,500円/平米
カーペット張替え 3,000~4,800円/平米
畳表替え 3,800~5,000円/枚
襖張替え 2,000~3,000円/面
網戸張替え 2,000~3,000円/本


清掃

1R・1K 15,000~25,000円
1DK 18,000~30,000円
1LDK・2DK 20,000~40,000円
2LDK・3DK 30,000~50,000円
3LDK・4DK 40,000~60,000円
戸建 上記×1.5



原状回復工事業者直伝の価格表なので、信憑性の高い情報である。

あなたの周りは本当にライバルだらけ?

昨今いろいろなアパマン系書籍や新聞で全国の空室率が10%以上だとか、一部では20%を超えたとか言われていますが、それは何の努力もしていない大家さんの所有物件が多く含んでいる数字なのです。
少なくとも、私の周りの実践的な大家さんはみなさん、満室経営をされています。

私も本業では、今まで数え切れないほどの物件を見ていますが、様々な本で紹介されている代表的な内見時の成約率向上の手法「ウエルカムバスケットの設置」や「室内のPOP」「家主からの手紙」など、実践的大家さんのスタンダードな空室対策はこれまで見たことがないのです。
これは何を意味するのでしょう。

たまに勉強している管理会社さんの物件において、室内に近隣のガイドマップが置いてある場合はありますが、本当に大家さん自らがこのようなアクションを起こしている物件がないのです。
横浜だからと言って空室率が少ないわけではありません。
(中略)
何も、室内にPOPを張ったからと言って、すぐに満室になるわけではありません。
ただし、室内にPOPを貼ったりする大家さんは少なくとも、満室に向けた具体的行動を起こしているという事実があるのです。
室内にPOPを貼る大家さんは、きっとそれ以外にも満室につながるほかの何かを必ずやっていると思います。

かたや、室内の装飾や演出を全くしない大家さんでも、満室に向けた地道な営業活動を客付け営業マンさんに対してしている実践的な大家さんもまた、限りなく安定したアパマン経営をしていると思います。

「空き家が多い」という理由は、不動産投資全体への否定にはつながらない、と本書の著者も断じている。
どんな仕事をするにしても、勉強と努力は欠かせないということである。

まとめ

原状回復工事業者が書いた本ということもあり、実務的な内容が多くなっている。
新興大家さんが書いた本のようなエンターテインメント色は薄いが、その分実務にいかせる情報に富んだ書籍と言える。

参考

勝ち組大家さんの高収益アパマン経営マニュアル~原状回復工事業者が初めて明かす儲かるサポート業者の選び方

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