太陽光発電の実質利回りはたったの3%?

不労所得

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前回の記事では、太陽光発電の費用と収益の概略を見てきた。
本記事では、10kWと50kWの2種類の太陽光発電事業の費用・収益を試算する。

10kWでの試算

土地代 0円(※1)
太陽光パネル 1,980,000円(※2)
パワーコンディショナー 748,000円(※3)
接続箱 0円(※4)
架台 350,000円(※5)
配送料金 300,000円(※6)
工事費 750,000円(※7)
系統連系費用 300,000円(※8)
地代または固定資産税 0円(※9)
監視・保守費用 0円(※10)
保険料 20,000円(※11)
廃棄・撤去費 150,000円(※12)

初年度費用合計:5,611,980円(8%消費税込)
次年度以降費用:毎年20,000円(保険料)
利回り:5.2%
※1:屋根に太陽光パネルを設置可能な住宅を持っているという前提。
※2:Looop Homeを採用。
※3:LooopパワーコンディショナLP-P33KSGを採用。買い取り期間である10年の間に故障しても、保証期間のため交換費用は不要。
※4:LP-P33KSGは接続箱不要。
※5:ホリー アルミ瓦を採用。
※6:「西濃運輸で1トン15万円」という書き込みより。太陽光発電の機器は部材が個別になるため、倍額と想定。
※7:工事費平均74,609円/1kWより。エコ発より。
※8:変圧器新設工事・引込線張替工事の費用一例。東京電力より。
※9:持ち家のため考慮せず。
※10:太陽光パネル付属のHEMSで監視。故障はパワーコンディショナーのみと仮定。
※11:一般的な自然災害補償の保険料年額。
※12:ソーラーパートナーズより。

50kWでの試算

土地代 1,500,000円(※13)
太陽光パネル 7,305,000円(※14)
パワーコンディショナー 0円(※15)。
11年目に1,500,000円で買い替え。
接続箱 0円(※15)
架台 1,660,000円(※16)
配送料金 0円(※15)
工事費 2,425,500円(※17)
系統連系費用 500,000円(※18)
地代または固定資産税 336,000円(※19)
監視・保守費用 300,000円(※20)
保険料 10年目まで0円(※21)。
11年目以降100,000円。
廃棄・撤去費 750,000円(※22)

初年度費用合計:16,648,620円(8%消費税込)
次年度以降費用:毎年636,000円(固定資産税・監視・保守費用)
11年目以降費用:毎年736,000円(固定資産税・監視・保守費用・保険料)
利回り:3.1%
※13:50kWhの設備を設置可能な約300坪の土地の価格。
※14:トリナソーラー低圧セット49kWを採用。
※15:トリナソーラー低圧セット49kWに含まれる。
※16:トリナソーラー低圧セット49kW付属の地上用架台・スクリュー杭あり。
※17:トリナソーラー低圧セット49kW付属の標準工事。
※18:変圧器新設工事・電線工事・変圧器新設工事・引込線張替工事の費用一例。東京電力より。
※19:長野県北佐久郡軽井沢町の平均坪単価×1.4%。
※20:みえるーぷより。
※21:10年目まではトリナソーラー低圧セット49kWに三井住友海上動産総合保険が含まれる。11年目以降は家庭用10kWの5倍の保険料が掛かると想定。
※22:家庭用10kWの5倍を想定。

実質利回りはたったの3%

土地を購入した場合、固定資産税や監視費用や保険料などを差し引くと、実質利回りはたったの3%になってしまった。
※50kWの場合。

3%の金利で融資を受けていたとしたら、利益はほぼゼロ。
利益が出ないのであれば、何もしないほうがまだマシだ。

DIY太陽光発電所とは?

結局、太陽光発電は儲からないのだろうか?
いや、工夫の余地はまだあるはずだ。

太陽光発電の利回りを上げる方法として、「DIY太陽光発電所」という手法がある。
整地工事・架台工事・設置工事・電気工事・保守システム構築を全てDIY(日曜大工)で行ってしまうという方法だ。
DIYで工事を行うことで工事費を大幅に節約できる。

ただしDIYで工事を行うためには、電気工事士の資格、重機作業の経験、ネットワークや監視システムの知識などが必要になる。
DIY工事を行えば、工事会社の保証は当然受けられない。メーカーの保証も受けられない可能性が高い。

ほかにも「過積載」と言って、パワーコンディショナーの定格出力を上回る発電量の太陽光パネルを設置して、発電量を多く稼ぐ手法もある。
この過積載も、メーカーの保証対象外となってしまう場合が多い。パワーコンディショナーやシステムの故障を引き起こす可能性も高い。

どちらの方法も、豊富な知識や経験が前提となる。

まとめ:表面利回りに踊らされないように

投資をする場合、表面利回りだけではなく実質利回りに注目する必要がある。
少なくとも上記で試算した限りでは、太陽光発電には投資としての旨みは少ないという結論となった。

買い取り価格は年々下がっており、10年後には買い取り制度自体が終了している可能性もある。「今が最後のチャンスです!」などと、太陽光発電への参入をあおる業者も数多く存在している。実際は、買い取り価格の下落にともなって太陽光発電システムの価格も下落しており、いつ参入しても実質利回りに大きな差はない。

DIY発電所の知識を身につけたり、太陽光発電以外の小水力・風力等について勉強することのほうが、優先すべき課題だとよくわかった。

2016/09/26追記

その後、太陽光発電所販売会社のセミナーに行ってきたので、その記録。

(参考)「コンパクトソーラー発電所説明会」セミナーレポート:金余り感を実感

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