初心者でも5分で分かる競売不動産の仕組み

不動産経営

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※出展:全商連

安く家を手に入れる方法として、昔から多くの人に利用されてきたのが「競売不動産」という手法だ。
この記事では、競売不動産の特徴やリスクに関して説明する。

競売不動産の特徴

私たちが、土地や家を買おうとするとき、広告を見たり、不動産会社に依頼したりする。
より安く、そしてより良い物を求め努力するのである。もし、読者が少しでも競売不動産というものに興味を持ったなら、ひょっとすると、その望みをかなえる早道となるかもしれない。

競売不動産は、一般的にその特殊性から市場価格より安く裁判所から売り出されている。
業者が一時的に引き取ったうえ、特殊な権利関係を整理し、相当な転売益を乗せて一般ユーザーに販売することが想定されているからである。
もし、競売不動産を直接裁判所から買えたなら、問屋を通さず購入できるのと等しい。

※出展:プロが教える競売不動産の上手な入手法(著:山田純男)。以下、引用部分は本書から。

競売不動産は通常の売買とは異なり、

  1. 権利関係が複雑
  2. 内見ができない
  3. 引渡しが保証されていない

このような問題点を抱えている。

「訳アリ」であるがゆえに、通常売買よりも安い値段で購入できる可能性がある。

競売不動産の最大のデメリット

しかし、安いには安いだけの理由がある。

私たちが通常不動産を購入する時は代金を支払うのと引き換えに売主に登記の移転(名義変更)と引き渡しを行ってもらう。
しかし、競売不動産場合裁判所にその代金を納めても、登記の移転は行ってもらえるものの引渡しは保証されない。
買い受けた者が、その不動産を利用または保管している人から自分で引き渡しを受けなければならない。
基本的には裁判所は面倒を見てくれないのである。

競売不動産の引渡しは、落札者が自己責任でおこなう必要がある。
占有者(権利がないのに居座っている人)がいる場合は、示談・引渡命令・強制執行などの手続きを取らなければいけない。なお、強制執行の費用は落札者が負担する。

参考までに、二人入居世帯(40平米のマンション)の強制執行費用は60万円~70万円の間である。

  • 執行立会人費用:35,000円
  • 搬出作業員費用:420,000円
  • 解錠・鍵交換費用:40,000円
  • 運送車両費用:68,000円
  • 梱包資材費用:50,000円
  • 保管料:21,000円


※出展:プロが教える競売不動産の上手な入手法(著:山田純男)

初心者が避けるべき競売不動産

通常、私たちが、土地や家を買おうと思う時、まずはお目にかかれない物件が、不動産競売市場にはある。

例えば、借地権付きの建物だが、地主から明け渡しの収去訴訟を起こされているものなどが入っている。
こんな物件は、一般的にはまず売られることはない。買ったはいいが「場合によっては、借地権がなくなってしまいます」、というのでは、普通では売り物にはなるまい、もちろん裁判所もこういった物件はその分、安くはしている。

係争物件と呼ばれるものは、評価上「係争減価」というものがなされ、安くなっている。

もっとひどいのになると、使用借権付建物というものもある。
これなどは借地権とは違い、そもそも地主に「建物を壊して、土地を明け渡せ」と言われれば、従わなければならない薄弱な権利の物件で、理論上、価格は出されるものの、実際は無価値に等しい。

破格に安い物件は要注意である。

他にも共有持ち分のみの競売不動産などというものもある。
利用するにも、処分するにも、他の共有者との協議が必要であり、これも一般向きとは言えまい。

また、先ほどの借地権付き建物の逆で、借地権が設定されているいわゆる「底地」も登場する。
これは、自らはその土地を利用できない特殊な土地である。

  • 係争物件
  • 使用借権付建物
  • 共有持ち分のみ
  • 底地

このような競売不動産には、初心者は手を出すべきではない。
たとえ落札できたとしても、法的に縛られて利用できないようでは、お金の無駄づかいになってしまう。

競売不動産における重要事項説明書:「3点セット」

実際の資料(事件記録)の内容だが、裁判所で用意している物は基本的には次の3点である。
1)物件明細書
2)不動産評価書
3)現況調査報告書
これらはまとめて「3点セット」と呼ばれる。

まず、物件明細書であるが、ここには裁判所の判断が記されている。いわば、売却の条件を定めているのである。事件記録の主役ともいえよう。

そして、不動産評価書は競売物件の適正な評価を記載したものであり、売却基準価格の根拠となる書類だ。また、競売不動産の都市計画法上の規制などについても、その概略が読み取れる。

現況調査報告書は、執行官が対象物件の調査結果をまとめたものである。占有関係を中心とした調査内容が記され、裁判所書記官はこの報告をもとに物件明細書を作成する。なお、建物の間取図や写真なども添付されており、建物の内部をうかがうことができる。

競売不動産の売買判断の基準となるものは、

  1. 物件明細書
  2. 不動産評価書
  3. 現況調査報告書

の3点のみである。

通常、競売不動産では内見が不可能なため、現地に赴いても立地や外観しか調べることができない。
あとは、近隣住人に聞き込みをする程度しか方法がない。

まとめ

競売不動産も、上手く活用できれば安く優良な不動産を手に入れることも可能である。
ただしそのためには、慣れや粘り強い調査が必要であることは言うまでもない。

出展

プロが教える競売不動産の上手な入手法(改訂第11版) (プロが教えるシリーズ)

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