自己肯定感を高めるためには「居心地の良さ」が必要

健康

◼️自信は経験によって作られる

「自分には自信がない…。」という人と、
「まぁ、何とかなるでしょ!」という根拠のない自信を持っている人。

両者の違いは一体どこから来るのでしょうか。

双子や姉妹や兄弟でも性格が異なることから、遺伝子や生まれ育った環境が決定的要因とは考えにくいです。

結論から言うと、自信は経験によって獲得されると言えます

◼️自己肯定感のカギはEIと随伴経験

自尊感情(=自己肯定感)に関する「愛着スタイル、情動知能及び自尊感情の関係」という論文があります。この論文の要点を抜き出すと以下のようになります。

  • 自己肯定感と情動知能(Emotional Intelligence、EI)には正の相関関係がある。
  • EIとは、感情を表現したり制御したりする能力。具体的には、喜びを伝えたり、怒りを抑えたりする力。
  • 感情を表現したり、制御したりする能力が高い人ほど、自己肯定感が高い。
  • EI以外に、自己肯定感と相関性が高い指標として「随伴経験の有無」がある。
  • 随伴経験とは、他人に対する努力が報われた経験のこと。

◼️自己肯定感を高める2つの視点

上記論文によると自己肯定感を高める方法は、 

  • EIを伸ばす。
  • 随伴経験を積む。

という2点に集約されます。より詳しく言えば、

  • 言語化能力を高める
  • トークスキルを磨く
  • 傾聴力を鍛える
  • アンガーマネジメント訓練をする
  • 友だちを作る
  • 恋人を作る
  • 人助けをして感謝される

上記のような経験を積むことによって、自己肯定感は高まります。とはいえ、「EI」と「随伴経験」だけでは自己肯定感は高まりません。「居心地の良さ」が重要です。

◼️愛着スタイル「両価型」

自己肯定感は「愛着スタイル」によって異なります。愛着スタイルとは、

「1人でいること」
「家族を含む他人といること」
のどちらに居心地の良さを感じるか

を指します。

1人でいることに居心地の良さを感じやすい人を「回避型」。
家族を含む他人といることに居心地の良さを感じやすい人を「安定型」と呼びます。
回避型と安定型の中間の「両価型」というタイプでは、EIが高いほど自己肯定感が低いという負の相関が見られました。

回避型は、「他人にどう思われようが関係ないし。」というタイプと思われます。ほうっておいてもそんなに問題はありません。

安定型は、EIが高まれば自己肯定感も高まるので、分かりやすいタイプです。

両価型は、
どうせ他人は自分なんかに興味ないんだ。でも嫌われたくないから他人と仲良くしなきゃ…。」
という、他者への矛盾した感情を持っています。

両価型は、EIを高めるよりも居心地の良い環境に身を置いたり、随伴経験を増やしたりすることに重点を置く必要があります。他者への信頼感が増せば、両価型は安定型に徐々に移行していきます。

◼️まとめ: タイプ別の自己肯定感向上法

「自己肯定感を高めるにはどうしたらよいのか?」をまとめると以下のようになります。

1) 愛着スタイル「安定型」の人:
→EIを高める。

2) 愛着スタイル「回避型」の人:
→自分の好きなように生きる。

3) 愛着スタイル「両価型」の人:
→ 居心地の良い場所を探す。随伴経験を積む。

4) 愛着スタイルが定まっていない人への接し方:
→ 居心地の良い場所を提供する(両価型への進行を食い止める)。

(補足)論文を読むときに知っておいた方が良い用語

論文を読むにあたって必要と思われる用語をまとめておきます。

r : 相関係数。
→相関係数は、正と負の方向と-1~1までの強さによって2つのデータ群の関係性を表します。概ね、
0~0.3未満:ほぼ無関係、
0.3~0.5未満:非常に弱い相関、
0.5~0.7未満:相関がある、
0.7~0.9未満:強い相関、
0.9以上:非常に強い相関
と言われます。

p : P値。
→一般的にP値が5%または1%以下の場合に、帰無仮説が間違いで、対立仮説が正しい可能性が高いです。

帰無仮説:
→無(true or falseのfalse=偽)に帰したい仮説のこと。
例)
・このコインはいんちきコインだ(1/2の確率で表が出ないコイン)。
・日本人はマナーがいい。
・コロナウィルスは某国の生物兵器である。
等。

対立仮説:
→帰無仮説と対立する仮説であり、本来証明したい仮説。
例)
・このコインはいんちきコインではない
・日本人はマナーがいいとは限らない。
・コロナウィルスが某国の生物兵器とは言い切れない。
等。

M: 平均
SD: 標準偏差

※アイキャッチ画像: pixtabay

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