以前、「不動産業は他産業よりも3倍儲かる上に2倍安全」という記事を書いた。
今回は不動産業のビジネスモデルに注目する。
不動産業の費用
財務諸表を見ただけでは、不動産業の費用内訳まではわからない。
一般的に不動産業においては、以下のような費用がかかる。
- 支払賃借料
- 支払手数料
- 支払管理料
- 不動産仕入
※出典:納富会計事務所
これらの多くは取引成立時に支払う費用で、赤字化の恐れがない。
※「不動産仕入」は除く。
不動産業の収入源
不動産会社の収入源としては、
- 売買仲介手数料
- 賃貸仲介手数料
- 家賃収入
- 分譲利益
- 管理委託料
などが考えられる。
これらの収入源=業務は「手離れがよい」という特徴がある。
※管理委託料を除く。
売買仲介なら仲介手数料の物件価格の3%(+6万円+消費税)、賃貸仲介なら家賃1か月分(+広告料)を、一度の取引で得ることができる。
家賃収入や管理委託料も、入退去時を除けば基本的には手間が少ない定期収入といえる。
分譲に関しては、売り切れなかった場合には在庫扱いになってしまう。しかし新築不動産は換金性が高い。小売業の商品在庫と比べれば在庫リスクはかなり低い。
不動産業はたまたま儲かっているだけなのか?
上のように不動産業の費用と収入源を考えると、不動産業の利益率が高いのは当然のことのように思える。
しかし、「不動産バブル」という言葉もある。
不動産業は好調・不調の波が激しい業種というイメージが強い。
そこで不動産業と全産業の利益率の変遷を比較してみた。
2000年~2015年のデータを見る限りでは、不動産業の利益率は全産業の3倍~4倍を維持している。
利益率に波はあるものの、全産業平均を下回るほどではない。
不動産業の利益率の高さは一時的なものではないということがわかる。
まとめ:新規参入するなら今?
費用・収入源・時系列データから、不動産業は利益率の高い業種だということがわかった。
とはいえ、誰でも簡単に不動産業者(宅建業者)になれるわけではない。
宅建免許を取得するためには、営業保証金1000万円を用意するか、保証協会へ60万円を支払う必要がある。
宅建士の資格を取得したり、事務所を構えたり、業務経験を積んだり、日々の営業が必要になったり、何かと手間はかかる。
それでも、宅建業者の大部分を従業員5人以下の小規模事業者が占めていたり、個人宅建業者の平均年齢が65歳(※)であったりする現状は、新規参入組にとっては大きなチャンスであることは間違いない。
※出典:不動産適正取引推進機構のデータより。