「住宅は一生に一度の買い物」という作り話

不動産経営
  • 「住宅は一生に一度だけの買い物」
  • 「家は一生で一番高い買い物」

などと言われることがある。
これは半分正解で半分間違いだ。

収入の5分の1は住宅ローン返済に消える

2015年の総務省の家計調査年報によれば、勤労者世帯のうち、住宅ローンを返済している世帯は37.8%とのこと。
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出典:総務省統計局「世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」

毎月の所得に占める住宅ローン返済額の割合は、20.2%
週5日の出勤日のうち、1日は住宅ローン返済のために働いているとも言える。

この数値を見ると、やはり住宅は高価な買い物という印象が残る。

収入の4分の1は食費に消える

上記統計資料に、エンゲル係数(全支出に占める食料費支出の割合)に関する数値も掲載されていた。
2015年の勤労者世帯のエンゲル係数は、23.6%
住宅ローンよりも、食費の方が負担は重いのだ。
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出典:総務省統計局「世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」

週5日の出勤日のうち、1日+2時間弱は、食費のために働いているとも言える。
ここでは支出=収入=所得と単純化している。

一生で一番高い買い物は「食事」

家計調査を見ても、最も割合の高い支出は「食料」となっている。
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出典:総務省「家計収支」を参考にグラフ作成。

住宅ローンは長くとも35年で返済が終わる。しかし、食料費の支出は生きている限り永遠に続く。
住宅ローンよりも食費の方が負担が重いのは、考えてみれば当然のことだ。

「住宅購入は一生に一度」と決め付ける必要はない

一点ものの新築住宅を、一生続く食料費と比較するのは不公平かもしれない。

ただ、「住宅は一生に一度だけの買い物」という思い込みは、明らかに間違っている。

持ち家を売却して、次の家の購入資金の一部に充てる人は多数存在している。
中古住宅を複数購入し、自分が住まない家を貸家として貸し出している人もいる。
一生賃貸派の人だっている。

「住宅は一生に一度だけの買い物」
「家は一生で一番高い買い物」
という幻想は、高額な新築住宅を売りつけたい連中にとって都合の良い作り話でしかない。
「一生に一度しか買わないんだから、どうせだったら良い物(高い家)を買いましょうよ♪」というセールストークのためのまやかしだ。

家はもっと自由な方がいい

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出典:DEVIANT ART

住宅ローンは、中流家庭が持ち家を手に入れるためにはこの上なく便利で有利な制度だ。金利も低いし、返済期間も長い。
だが、雇用が流動的になり、人の移動の自由度が格段に増加した現在においては、35年という長期の縛りは逆に重荷になってしまう。

家族のために理想的な家を手に入れたい、という気持ちは貴いものだ。
それでも、自身の転職、子どもの独立、老親の介護など、ライフスタイルの変化は常に訪れる。

変化に柔軟に対応するためには、

  • 自宅の一部を貸室として提供可能な賃貸併用住宅
  • 中古住宅を活用することで資金を節約
  • 余裕資金で賃貸経営

など、不動産投資の手法が活用できる。

「住宅は一生に一度だけの買い物」などと重く思わず、リスクをコントロールするための手段として家=不動産を考えたほうが、人生はより豊かで楽しくなる。

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