用途地域と容積率の関係について勉強していたら、「建築計画のお知らせ」の看板が気になり始めました。
「建築計画のお知らせ」とは?
マンションの建築現場によく貼ってある「建築計画のお知らせ」ですが、そもそも何でこんなものを貼らなければいけないのでしょうか?
中高層建築物を建築しようとする建築主は、建築確認等の申請を行う前に、「建築計画のお知らせ」という建築計画概要を記載した標識を、建築予定地の道路に接する部分(建築予定地が2以上の道路に接するときは、それぞれの道路に接する部分)に、原則として地面から標識の下端までの高さが概ね1mとなるように設置しなければなりません。
※出典:東京都
都の条例により、この看板の掲示が建築主に義務付けられています。
「中高層建築物」とは「延べ面積が1,000平方メートルを超え、かつ、高さが15mを超える建築物」以下のことです。
私が見た「建築計画のお知らせ」によると、延べ床面積は約3000平米、高さは33メートルです。
この建物は「中高層建築物」に当てはまります。
続いて「建築確認等の申請」という用語も調べてみました。
建物を建てる(新築・増改築)には、建築主は確認申請書を役所若しくは民間の建築確認検査機関に提出し、建築物が建築基準法・条例等に適合しているか確認を受けなければなりません。確認を受けずに工事を着工することは出来ません。
※出典:ジーティー建築事務所
つまり、マンションを建てるには、
- マンションの建築を企画する
- 建築計画のお知らせを掲示する
- 建築確認を申請する
- 着工
という手順を踏まなければいけないことになります。
用途地域から容積率を調べる
「建築計画のお知らせ」の看板が貼ってあった場所の容積率を、都市計画の用途地域から調べてみます。
東京都の場合、東京都都市整備局のホームページから用途地域や建ぺい率・容積率を調べることができます。
建築現場は、
- 用途地域:商業地域
- 建ぺい率:80%
- 容積率:500%
という場所でした。
建築現場の前面道路の幅員
建築現場の前面道路は片側4車線と、大きな道路です。
※3車線+中央分離帯
1車線の幅を3メートルとしても、3×8で24メートルはあります。
前面道路の幅員が12メートル以上の場合
実際に建築できる建物の容積率は、
- 用途地域が示す容積率
- 前面道路の幅員×0.6
のいずれか小さい方になります。
前面道路の幅員が12メートル以上の場合は、「用途地域が示す容積率」をそのまま使うことになります。よって、建築可能な建物の容積率は「500%」となります。
実際の建物の容積率
建築計画のお知らせでは、
・敷地面積:470平米
・建物面積:2992平米
と記載されています。
よって、容積率は636%と計算できます。
あれ?
500%超えてる!
容積率不算入、除外規定などの存在
またまた調べてみると、
- 地階部分の容積率不算入
- 車庫部分の容積率不算入
- マンションの共用廊下、階段、エントランス、エレベーターホール等の除外
- 一定規模以上の敷地における容積率の緩和
など、さまざまな例外規定が存在していることが分かりました。
どうやら、建築可能な延床面積は単純計算では算出することはできないようです。
まとめ
「容積率を建ぺい率で割れば、建築可能な建物の階数は大体分かるだろう。」
などとぼんやり考えていましたが、大間違いでした。
「容積率不算入」以外にも、
- 高さ制限
- 斜線制限
などの規定もあり、建築の奥深さをほんの少し垣間見た気がします。