不動産業は他産業よりも3倍儲かる上に2倍安全

「四半期別法人企業統計調査」(平成28年1~3月期:財務省)という資料を読んでいた。
資料の中で気になったのは、不動産業の好調な売上状況や良好な利益率だ。

以下は、売上高増加率・利益率・自己資本比率を、全産業平均と不動産業で比較した表。

利益率 自己資本比率 売上高増加率
全産業平均 4.8% 20.0% -3.3%
不動産業 13.7% 39.6% 2.2%
※2016年1~3月期の前年同期比増加率。利益率は売上高営業利益率。全産業平均の自己資本比率は金融・保険を含む。

不動産業の利益率は全産業平均の約3倍。安全性の指標である自己資本比率は約2倍だ。

なぜ、不動産業はこんなに儲かっているのだろうか?
現在たまたま儲かっているだけなのか?

不動産業が儲かる仕組み

不動産業の儲けの仕組みを知るため、大手不動産企業の財務諸表に目を通した。

不動産業代表:三井不動産

三井不動産の売上高と営業利益

不動産業の参考モデルとして、業界最大手の三井不動産を取り上げる。

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※出展:三井不動産

三井不動産の2016年4~6月期の売上高(営業収益)は3564億7000万円。
営業利益は475億8100万円。

売上高営業利益率は約12.8%となる。
不動産業平均の13.7%には劣るが、近い数字にはなる。

三井不動産の自己資本比率

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2016年4~6月期の三井不動産の総資産は5兆3462億0900万円。
負債を除く純資産は1兆9551億7800万円。

自己資本比率は約36.6%
こちらも、不動産業平均の39.6%と似たような数字だ。

三井不動産の人件費率

次にコストの方も調べてみる。

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ほとんどの業種においてコストの大部分を占めるのが人件費だ。
人件費は一般的に、「販売費及び一般管理費(以下、販管費)」にあたる。
2016年4~6月期の三井不動産の販管費は375億4400万円だ。

売上高(営業収益)に占める人件費の割合は約10.5%となる。

全産業代表:リゾートトラスト

リゾートトラストの売上高と営業利益

全産業平均の参考モデルとして、ホテル業界大手のリゾートトラストを取り上げる。
リゾートトラストの主な事業は、リゾートホテル・シティホテル・ゴルフ場運営など。
宿泊業界は、業界平均(※)の売上高営業利益率が4.0%、自己資本比率が24.1%と、全産業平均に近い財務体質となっている。
※2016年1~3月期四半期別法人企業統計調査(財務省)より。

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※出展:リゾートトラスト

2016年4~6月期のリゾートトラストの売上高(営業収益)は312億5100万円。
営業利益は7億4800万円。

売上高営業利益率は約2.4%となる。

リゾートトラストの自己資本比率

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2016年4~6月期のリゾートトラストの総資産は3982億5800万円。
負債を除く純資産は1074億4800万円。

自己資本比率は約27.0%

リゾートトラストの人件費率

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2016年4~6月期のリゾートトラストの「販売費及び一般管理費」は262億2100万円。
売上高(営業収益)に占める人件費の割合は約83.9%となる。

三井不動産とリゾートトラストの比較

三井不動産とリゾートトラストの

  • 利益率
  • 自己資本比率
  • 人件費率

を以下表にまとめてみた。

利益率 自己資本比率 人件費率
リゾートトラスト 2.4% 27.0% 83.9%
三井不動産 13.7% 39.6% 10.5%

※利益率は売上高営業利益率。人件費率は売上高人件費率。

宿泊業(リゾートトラスト)と比較した場合、不動産業(三井不動産)は
人件費がほとんど掛からず、自己資本比率も高く、利益率も高い商売
ということがよくわかる。

いい投資先が見つからない時は、宅建業を開業するのもアリ?

利回りが高い物件や空室の恐れが低い物件がなかなか見つからない時期は、自ら不動産業者(宅建業者)になってしまったほうがお得かもしれない。
投資熱が高まっている時期には、物件の売買自体はさかんにおこなわれている。
莫大な借金と引き換えに利回りの低い物件を保有して空室におびえるよりも、売買仲介で仲介手数料を稼いだほうが低リスク・高リターンな手法といえる。

2016/09/21追記

不動産業のビジネスモデル・儲け方については以下を参照。

(参考)「不動産業者はどうやって儲けているのか?」

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