「ウソやろ…」と茫然自失・現実逃避する以外ないです。
東京電力福島原発事故に関する裁判で、当時の役員に対して約13兆円の支払いが命じられました。
正直、「そんなん支払えるか!」くらい無茶苦茶な金額です。しかし、避難を強制され、全ての資産や生活を失った住民の多さと苦悩の大きさを考えれば、金額が示されたことには意義があります。
この13兆円は原告団がもらえるわけではなく、被告が東電に支払う金額です。福島第一原発の事故によって東電が被った損害を考えれば、それほど無茶な金額ではない気がします。
■自己破産すれば支払いを逃れられるのか?
13兆円の賠償金は、税金とか不法行為によるものではないので、自己破産すれば免責されます(支払わなくて済む)。
被告たちの年齢(72〜82歳:2022年時点)を考えると、うやむやにして引き延ばして寿命を迎える作戦をとるかもしれません。現実的な金額まで減額して和解、という決着もありそうです。
■株主代表訴訟とは?
取締役ほか役員等が会社に対して責任を負う場合、会社がその責任追及を怠るときは、株主が会社にかわって役員等の責任を追及するために提起することができる訴え。
コトバンク
会社に損害を与えた役員に対して、株主が損害賠償請求を求める訴訟のことです。個人株主が48人集まって原告団を結成し、東電と争っています。
■誰が誰を訴えたのか?
個人株主48人 VS 当時の役員5名。
ちなみに、「生業訴訟原告団」という別の訴訟もあります。そちらでは約3500人の原告団が国・東電と争っています。
■この判決を下した裁判官は誰?
本件の裁判官は福島第一原発の視察も行っています。
■原発再稼働のリスクを改めて考える
原発を稼働するためには「非常に高い安全基準が必要」と示されました。賠償責任が天文学的金額になるリスクを考えれば、安全基準に反してまで原発を再稼働しようとする役員はいないでしょう。
また、火力発電所が再稼働したことで需要逼迫の懸念は低下しています。
ところで2022年6月には、最高裁が原発政策を推進した国の賠償責任を否定する判決を出しています。東電の元役員の方々は最高裁に望みを託して上告を続けることでしょう。争いは続く。
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