外国人入居者特有のトラブルとは:優良外国人入居者を見極めるコツ

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「日本の賃貸不動産市場 増え続ける外国人~東京23区の若者の6人に1人は外国人の時代を生きる~」というセミナーを聞いてきた。
外国人入居者に客層を広げたい大家にとっては参考になる情報が多かった。以下内容をまとめる。

Contents

開催概要

開催日:2015/09/06
セミナータイトル:「日本の賃貸不動産市場 増え続ける外国人~東京23区の若者の6人に1人は外国人の時代を生きる~」
主催:CF NET’S
会場:AP東京八重洲通り

第一部:「外国人賃貸の今とこれから」

外国人入居者に特化した管理会社、「グローバルトラストネットワークス」の矢島さんの講演。
以下、講演内容から引用。

1)在留外国人市場の概観

[1-1] 日本人の人口減少と高齢化率40%超

日本人人口は2060年には9千万人を割り込み、高齢化率は40%を超えると予想されている。

[1-2] 円安になると増える外国人:国別の傾向

在留外国人の数は2009年に減少傾向となったが、2013年から再度増加に転じた。増加のきっかけは円安と思われる。

在留外国人の中でも、中国人は1990年代中盤から増加を開始。90年代と現在(2015年)を比較すると、在留中国人の数は約3倍に増えている。
在留外国人のうち、中国人の数はダントツで1位。日本に住む外国人のうち30%が中国人。

韓国人は20%。ただし、韓国系はいわゆる在日の方も含むので、ほぼ日本人と言っても過言ではない。

韓国人の次に

  • フィリピン人
  • ブラジル人
  • ベトナム人
  • アメリカ人

などが続く。
フィリピン人は水商売系、ブラジル人は自動車工場系の仕事についていることが多い。

2013年~14年の純増数で最大はベトナム人。約2万人増えている。流入外国人のうち約半分を占めている。
ベトナム本国の人口は1億人に迫っており、2025年までに1億人を超えると予想されている。

ネパール人も1万人増えている。ビザ開放の影響。

[1-3] 外国人が住む上位10都道府県
  1. 東京都
  2. 大阪府
  3. 愛知県
  4. 神奈川県
  5. 埼玉県
  6. 千葉県
  7. 兵庫県
  8. 静岡県
  9. 福岡県
  10. 京都府

上位10都道府県で75%の在留外国人をカバーしている。
2010年に京都を福岡が追い抜いた。

東京都では新宿区と豊島区に外国人は集中している。
アメリカ人は港区に、フィリピン人は足立区に集中など、国籍によって違いがある。

[1-4] 留学生・技能実習生が多い

永住者が約50%。(10年以上在留、犯罪歴無し)
留学が10%。
定住が7.5%。
技能実習(※)が7.5%。
日本人配偶者が6.8%。
※「技能実習」とは、”発展途上国の人材が最長3年の期限で、働きながら日本の技術を学ぶ仕組み。政府は途上国の経済発展に資する国際貢献と位置付けているが、安価な単純労働力として外国人を利用しているとの批判がある。”
出典:産経WEST

[1-5] 留学生を12万人増やそうという政府の計画

外国人留学生の数は現在18万人。税府は30万人への増加を目指している。
留学生数は早稲田大学がトップ。
大学寮に住んでいる人数は全体の25%で、1年以上継続して住むことはできない。

[1-6] 日本人の労働人口は今後30年で半減

日本人労働者人口は、2050年までに現在(2015年)の50%に低下する見込み。
今後、日本人労働者人口の減少を外国人がカバーするものと思われる。
シンガポール、韓国、中国、タイなどからの外国人が増えるだろう。

[1-7] 現在の外国人労働者

不法残留者を含む外国人労働者数は300万人以上と考えられている。
留学生は、週28時間以内のアルバイトはOK。
技能実習は外国人労働者の20%。

[1-8] まとめ:日本人減・外国人増

日本人が減って、外国人が増えている。
経済停滞と自然災害が起きると、外国人が減少する傾向がある。

2)外国人入居のポイント

[2-1] 入居前に日本の習慣について教える

日本の住居の習慣に関するビデオを入居者に見てもらって、疑問点などを書き出してもらう。

外国人からは、「なんで部屋をキレイにして返さなければいけないの?」と言われることもある。

[2-2] 外国人は日本人とは違うと理解する

外国人入居者が退去後に帰国する場合は、連絡がつかなくなって退去費用を回収できないこともある。

[2-3] 「開けてビックリ中国人」を防ぐには

ちゃんとした賃貸契約をしていれば、「開けてビックリ中国人」(※)ということはまず無い。
※単身入居のはずなのに大人数で住んでいた、部屋がものすごく汚くなっていた、などの驚愕の入居状態を指す。

留学生の属性は非常に良くなっている。
「中国人だからダメ」というのは、感覚が古い。

ビザ取得の時点で、相当ふるいに掛けられている。優良な人が残っている。

[2-4] オーナー・管理会社の不安

外国人入居者と聞くと、オーナーや管理会社は、

  • 転貸、複数人入居、解約手続き、違約金など。
  • ゴミ出しトラブル、長期不在、騒音。
  • 支払をきちんとできるか。

という点を心配することが多い。

[2-5] 銀行は外国人に冷たい

ゆうちょ銀行、新生銀行は外国人でも口座開設が可能。
しかし他の銀行は、最低3か月間日本に滞在していないと銀行口座が作れない。

入居者が春節(※)などで長期不在にして、支払日を過ぎて滞納になることもある。
※中国の正月。

印鑑を作るのにも時間が掛かる。口座振替も難しい。
外国人には、キャッシュカードでの振り込みが許可されていない。マネーロンダリング対策のため。

[2-6] 外国語の契約書作成は義務付けられていない

不動産の法律上では、日本語の契約書が主たる契約書になる。
現行の法律は、外国人向けの翻訳版契約書を想定していない。
実務上、契約書や重要事項説明書ができあがるのは契約の直前であることが多い。
翻訳している時間が無いという事情もある。

[2-7] 外国人に人気のエリア・人気物件とは?

外国人入居者にとっては、家賃と利便性のバランスが全て。

日本人と外国人を比較すると、交通機関からの距離や家賃感覚にズレがあるようだ。

例えば「池袋駅最寄りの物件がいい」という外国人に詳しく話を聞いたら、「池袋駅まで自転車で30分かかる物件でもOK」と言われたことがあった。

「山手線の内側で家賃3万円の物件ないの?」と言われたこともある。

日本人に不人気の物件が人気。
3点ユニット、狭い、日当たりが悪い、などは気にしない。
安くて便利なら良い。

[2-8] 外国人OK物件は少ない

外国人OKの物件は、物件全体の1/5くらい。
ファミリー向けの広めの物件が不足している。

第二部:ディスカッション(質疑)

セミナー主催会社「CFネッツ」の社員さんたちと第一部の講演者・矢島さんに、CFネッツの猪俣さんが質問をするコーナー。

Q1. 外国人に人気があるエリアは?

A1. 板橋・西川口・蕨

板橋(東京)、西川口(埼玉)、蕨(埼玉)などのエリアには、昔から外国人OK物件が多かった。古くから中国人が多く住んでいて、情報が口コミで広がったのではないか。

東京に近くて家賃が安い場所。

神奈川では、中華街、関内、堀之内(川崎)のあたり。

Q2. 外国人入居者の属性は?

A2. 日本語学校の学生

日本語学校の学生が圧倒的に多い。
その次に飲食店技能(中華料理屋のコックなど)。貿易関係や経営者も。

Q3. 入居付け業者は日本人?外国人?

A3. 外国人業者が多い

東急線沿線の物件では、池袋・新宿・渋谷などの外国人業者が多い。
やんちゃな会社。
「この人大丈夫ですか?」と聞いても、「大丈夫!」という答えのみ。
何を聞いても「大丈夫!」としか言わない。

「空室サギ」というものがある。
空室のキーボックス番号をどこからか調べてくる。盗んだクレジットカードで買い物をして、その空室を受け取り場所に指定して現金化する手法。
※「キーボックス番号を伝える会社は慎重に選びましょう」という話と私は解釈した。

Q4. 外国人入居者のトラブルは?

A4. 複数人入居・ゴミ出し・騒音

新松戸(千葉県)はベトナム人が多い。
ワンルームマンションに8人~12人も住んでいたケースがあった。
ベランダでニワトリを飼っていた人もいた。

ベトナムでは、地元業者が「日本で働いたら稼げるよ」と郊外の農家の次男坊などを騙して日本に連れてくるようだ。
日本への移住資金200万円を貸しつけて、10日で1割の利息を取っている。

ゴミの分別がされていない、ゴミ出しの曜日を間違えている、粗大ゴミの出し方が分からない、騒音がひどい、などのトラブルがある。
排水が詰まったまま放置されて、階下に漏水したことも。

これは「トラブル」とは違うが、横須賀の米軍関係者に貸していた物件では、1週間前の解約予告が可能な代わりに家賃は相場の倍という慣習もある。

外国人入居者が家賃滞納をしても、悪気(わるぎ)がないことが多い。単に認識の違い。日本人よりは外国人の方がトラブル対応は楽。

Q5. 日本語レベルは?

A5. ピンキリ

人によってバラバラ。
日本語学校の生徒は結構しゃべれる。

Q6. 入居申込書のどこに注意すればいいか?

A6. 日本語能力

ふりがなの使い方で日本語能力を推測したり、月収は家賃の1/3くらいを最低限と想定したり。
基本的に、日本語を理解できない人は審査に通らない。

Q7. 入居審査で気を付けるべき点は?

A7. 在職証明をしっかりおこなう

3か月前に既に仕事をやめている人が、既にやめた会社の証明書を在職証明書として送って来ることもある。
仲介会社が指示している場合もある。
在職証明書の電話番号もウソ(仲介がグル)なので、電話しても適当に口裏を合わせられてしまう。

中華系の仲介会社は、たとえウソをついたとしても、入居を早く決めてあげることが人助けだと思っている節がある。

感想:変化の兆しはあるものの、まだまだ外国人に冷たい賃貸市場

グローバル矢島さんと、CFネッツの審査担当者の温度差が面白かった。

グローバルさんは、「入居者が日本語をあまり理解できなくても、私たちがサポートします」という立場。
CFネッツさんは、「日本語能力が低いと審査は通らない」という立場。

現状ではCFネッツさん側の考えが多数派だろう。
しかし将来的な流れとしては、グローバルさんの考え方が主流になっていくと思われる。

今後数十年のスパンで賃貸業を営むなら、外国人入居者を切り捨てるべきではない、ということがよく分かった。

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