この記事では、空室対策としての「不動産業者対策」に焦点を当てます。
「入居者を引き寄せ満室御礼!大家さんのための新空室対策」から一部引用します。
※出展:入居者を引き寄せ満室御礼!大家さんのための新空室対策(著:久保力也)
空室対策とは不動産業者対策
大家さんは、不動産業者の方々に広告宣伝活動=プロモーションをしっかりしていく。これが、入居者を引き寄せる空室対策の新常識だと考えます。
空室対策と言うと、物件の魅力を高めることに注目してしまいがちです。
しかし、著者の久保さんは「不動産業者への広告宣伝が最も重要」と語っています。
空室対策とは差別化
(設計士に)玄関からの廊下をつくってもらい、リビングと洋間を離して配置してもらうようにしました。これは差別化を考えての戦略でした。
当時、1LDKタイプは人気が出てきていた間取りです。
その1LDKタイプをネットで探すと、リビングの横にもうひとつの部屋があり、引き戸で仕切られる続き間タイプが多く見受けられたからです。実際、お部屋を成約された方と話をする機会があり、このリビングと洋間が離れたタイプを探していたそうです。
著者は、競合物件との差別化の重要性も訴えています。
割安さだけで勝負してはいずれ価格競争に陥り、潰し合いになってしまいます。
差別化のためには、競合物件をよく研究することや、柔軟な発想が必要になります。
大家さんが知らないとマズイ五つの現場
第一の現場 賃貸経営を取り巻く業界を知る
- 全国賃貸住宅新聞
- 家主と地主
- 賃貸住宅フェア
- 見える!賃貸経営
- 首都圏賃貸住宅市場における入居者ニーズと意識調査(リクルート住まいカンパニー・プレスリリース)
- 不動産情報サイト利用者意識アンケート(不動産情報サイト事業者連絡協議会)
第二の現場 商品である物件を徹底把握
商売人である大家さんは、ご自分の物件に関して誰よりも徹底的かつ正確に情報を把握し、必要であれば関係者に素早く情報提供ができなければならないと考えます。
もしそれができなければ、目の前のお客様を、不動産業者の信頼を失うことにつながることでしょう。
このあと著書の中で、「空室で困っている。」という大家さんが著者の久保さんに相談するシーンが出てきます。しかし、久保さんが物件について質問しても、大家さんはまともに答えられません。結局何のアドバイスもできないまま、相談が終わってしまいます。
私も、「所有物件について100%明確に答えられるか」と訊かれると、自信を持ってYESとは言い切れません。勉強が必要です。
第三の現場 不動産業者の現場で何が起こっているかを知る
不動産業者の方は非常に忙しいということを知っていてください。
空室情報収集・整理、現地に赴いての現場調査・撮影、間取り図作成、マイソク作成、空室の情報発信、入居希望者との打ち合わせや内見、賃貸借契約の締結、大家さんへの報告・送金関連、クレーム対応、リフォーム相談・見積もり、水道検針、物件見回り・清掃等。個人であれ組織であれ、多岐にわたる仕事内容と作業量が不動産業者にのしかかり、常に時間と戦いながら仕事をしています。
この事実をあなたはどう受け止めるでしょうか。
「それは彼らの仕事だから当たり前だ」でしょうか。
それとも「そんなに激務であれば、大家として何の協力ができるだろうか?」でしょうか。
これからの大空室時代は不動産業者も経験したことのない未知の世界です。今までは不動産業者がすることが当たり前と思われていたことを、大家さんも協力して行動・実践していく時代に突入していると思います。
結局のところ、満室経営を達成している大家さんとは、不動産業者の協力を得られる大家さんのことです。
不動産業者の協力を得るためには、大家の方からメリットを提供してあげなければいけません。
尊大で失礼で強欲な大家に対して、不動産業者は協力したいとは思いません。
「労多くして功少なし」の物件を、不動産業者は紹介したいとは思いません。
嫌われる行動を逆にすれば、不動産業者に好意を持ってもらえる確率は高くなります。
不動産業者に敬意を持って接し、礼を尽くし、必要な費用はすぐに払う。
不動産業者の労力を最小限にするために協力し、適切な広告費も約束する。
これらを地道に実行していく必要があります。
第四の現場 集客
本書をご参照ください。
第五の現場 既存入居者
本書をご参照ください。
まとめ:不動産経営という仕事の使命感
なにもなかったところに建物が立ち、そこに人が生活をする。本当にすごいことなんだと感動を覚えずにはいられませんでした。同時に、大家さんとしてそこに住む入居者にとって、快適で安全な住環境を提供しなければならないという使命感も湧いてきました。
どんな仕事でも、やりがいや使命感が感じられなければ、いずれはイヤになってしまいます。
不動産投資=不動産経営のモチベーションの一つとして、「入居者に快適で安全な住環境を提供すること」を挙げることができます。
私が個人的に「これだから不動産投資はやめられない!」と感じる主な瞬間は、
- 指値が通った時
- 空室が埋まった時
の2つです。
「2.空室が埋まった時」に関しては、
- 快適で安全な住環境を提供するための努力が認められた
- 収入が増える(収入水準が元に戻る)
という達成感も伴うため、喜びもひとしおです。
その反面、管理会社から「退去の申し出がありました。」との知らせを聞いた時のガッカリ感にはすさまじいものがあります。結局、差し引きはゼロかもしれません。