さて、来週(12月14日)に選挙があります。
(零細)不動産大家の視点から、各党の政策を比較してみます。
※取り上げる政党は解散前の議席数上位四党ですが、公明党と次世代の党は個人的趣味で除外しました。
自民党
メリット:デフレ脱却
デフレが長く続いたので、「家賃は下がるもの」という認識が入居者さんの意識にも根付いてしまった感があります。
デフレ脱却が成功し、物価が上昇している事をデータで示せるようになれば、値下げ要求にも冷静に反論する事ができます。
ただし、物件購入時の値下げ要求もしづらくなるので、物件を増やしていくフェーズでは逆風として働くかもしれません。
デメリット:住宅ローン減税等
住宅ローン現在や、「すまい給付金」など、住宅を借りるのではなく、購入する人への支援策に重点を置いているようです。
国民生活全体としてはプラスの政策だとは思いますが、賃貸需要の減少につながる可能性があるので、デメリットにしました。
民主党
- 8%への消費税増税を止めることができなかった点
- エネルギー政策に関する一貫性の欠如
- 子育て支援政策の腰折れ
- 党内分裂
など、政権党としての信頼をこれ以上ないほどに落としましたが、それでも世論調査等ではいまだに自民党に続く勢力とみなされているようです。
メリット:「大きな政府」
・子育て支援策の抜本的拡充、若い世代に対する結婚・出産支援策の強化
・非正規雇用の待遇改善、正規雇用の増大
・高齢者の雇用や地域活動を支援
・社会保障制度の充実・安定化により将来不安を軽減
などなど、生活に関する支援策を充実させるとのことです。
どれも実現性や具体性が乏しい提案ではありますが・・・。
賃貸需要の底上げには寄与すると思われます。
デメリット:住宅規制
省エネルギー法を改正し、住宅断熱の義務化・省エネ努力の「見える化」などにより、日本の持つ優れた省エネルギー技術の飛躍的な普及を図ります
中古物件がメインの人にとっては、「住宅断熱の義務化」は設備投資負担増につながりそうなので、デメリットに含めました。
入居者さんや、環境にとってはいい事だとは思います。
維新の党
メリット:雇用支援
高齢者雇用率、女性雇用率を設定し、ペナルティよりも減税等のインセンティブで誘導する。
入居者さんの母数が増えそうな政策です。
デメリット:高齢者給付の抑制
高齢者雇用の創出を図ったうえで年金の支給開始年齢を段階的に引き上げ、医療費の自己負担割合を一律とする。
高齢の入居者さんにとっては、収入減少・支出増加の可能性が高まります。
その分、「高齢者なりに働いてください」というスタンスのようです。
共産党
メリット1:家賃補助制度
民間賃貸住宅に居住する低所得者への家賃補助制度を創設します。この家賃補助制度によって、年収200万円以下の約340万世帯への居住費負担を軽減します。
入居者さんにとっても、借りてもらう側にとってもメリットになりそうです。
メリット2:固定資産税の軽減
居住者に重い負担となっている、固定資産税の軽減をはかります。
賃貸住宅について適用されるかどうかは分かりませんが・・・。
デメリット1:定期借家に反対
滞納対策としての「定期借家制度」ですが、共産党は反対しているようです。
私自身、「定期借家契約」で物件をいくつか貸しているので影響がありそうです。
デメリット2:富裕税
株式や不動産など富裕層の高額資産に、毎年低率で課税する「富裕税」を創設します。
相続税の評価基準で 5 億円を超える資産の部分に 1 ~ 3%の累進課税。
「5億円」が課税最低水準になりそうなので、私にとっては影響はないと思いますが、大規模大家さんにとってはマイナスでしょう。
比較表
以上の内容を以下にまとめます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
自民党 | デフレ脱却 | 住宅ローン減税等 |
民主党 | 「大きな政府」 | 住宅規制 |
維新の党 | 雇用支援 | 高齢者給付の抑制 |
共産党 | ・家賃補助制度 ・固定資産税の軽減 |
・定期借家に反対 ・富裕税 |
感想
マニフェストの表紙に党首の拡大写真を載せるのは、やめた方がいい気がします。
オッサンの巨大な顔を見ても、何のテンションも上がりませんし・・・。
とはいえ、マニフェストには良い点もあります。
マニフェストを読むことで、現時点での国内最高級のプレゼンテーションやコピーライティングがどういうものなのか、窺い知ることができます。
有権者は20歳以上、年齢の上限もありません。
居住地も日本全国(海外も)。
あらゆる職種が対象。
主要な支持層にターゲットを絞っている党もあれば、あらゆる階層の支持を得ようとしている政党もいます。
要点を絞って簡潔に伝えている党もあれば、長文で念入りに伝えようとする政党もいます。
お手本となるマニフェストもあれば、反面教師としたいマニフェストもあり、
「伝える」
という仕事・活動をしている人にとっては、大いに参考になる資料なのではないでしょうか。
「選挙費用700億円がムダ」
という主張も一理あるとは思いますが、私は今回の選挙にどちらかと言えば賛成の立場です。
現時点で有権者数が約一億人なので、一人の負担は約700円。
(選挙関連資料|総務省)
民主主義を支える費用としては、むしろ安すぎるくらいではないでしょうか。
一億人の有権者に情報を届け、投票の仕組みを用意し、候補者同士が当選を目指してチームとして争う。
全国的にそのような大規模な活動を行うなら、このくらいの費用は掛かるでしょう。
マニフェストの最大の問題点は、「ベストエフォート方式」(=言いっ放し、守らなくても何のペナルティも無い)という点ですが、
「マニフェスト評価サイト」というサイトも出現してきており、過去のマニフェストと実際の政策をチェックする仕組みも始まっています。