東京新聞の「老いて追われる」は弱者保護に偏り過ぎ

引っ越し

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 高齢者の入居に後ろ向きな大家は少なくない。日本賃貸住宅管理協会(東京)が昨年三月、全国約十四万人の大家を対象に実施したアンケートでは、「拒否感がある」という回答が六割に達した。家賃の滞納や孤独死への不安が主な理由だった。

※出展:東京新聞

東京新聞さんが日本中の大家さんに宣戦布告したようです。

記事の内容は、生活保護を受けている高齢者がアパートを追い出される、という物悲しい話です。
家を貸している立場からすると、ちょっと不公平な感じを受けたので雑感です。

振り込みは確かに遅れたが、必ず払った

家賃の振込期限に対してどれくらい遅れたのかについて、記事中では触れられていません。振込が遅れた頻度も「たびたび」としか書いておらず、入居者の落ち度追及を避ける意図でもあるのか、と勘繰ってしまいます。

入居者の「確かに遅れたが、払っているから問題ないだろう。」という主張には説得力がありません。入金が遅れていれば、入居者に連絡を取って入金を催促する手間が発生します。管理会社や大家にタダで働け、と言っているようにも聞こえてしまいます。

契約内容にもよりますが、貸主は期日を過ぎても入金がない場合、入居者に遅延損害金を請求することもできます。
契約違反にあたる行為があった場合、貸主は即時解約をすることもできます。(契約書に取り決めがあった場合に限り)

もし普通借家契約ではなく定期借家契約だった場合は、契約期間満了と同時に退去してもらうことに何ら問題はありません。

「6か月前の解約予告」はあくまでも原則であり、個別契約内容を提示せずに原則だけを主張するのは不公平です。

生活保護は逆に安心

私個人の考えですが、生活保護世帯に入居してもらえば逆に安心です。
なぜなら、生活保護は確実に受け取れるお金だからです。給料は、体調を崩して働けなくなってしまえば受け取れませんが、生活保護は働くことのできない人も受け取れます。
生活保護費から最優先で家賃を払ってくれるかどうかは分かりませんが、それは給料を受け取っている場合でも同様です。

単身で生活保護を受けていると、さらにハードルが高くなるとの指摘もある。

東京新聞の記事内ではこのような記載がありますが、誰が言っている話なのかが分かりません。少なくとも私は生活保護歓迎派です。

孤独死の問題

貸主が高齢者の入居に後ろ向きになる最大の要因はこれです。

万が一孤独死が発生し、孤独死の発見が遅れれば物件の原状回復費は高額になります。
自然死の場合、事故物件開示義務が生じるか生じないかは地域によっても異なります。しかし現実的には、家賃を減額しなければ入居者は見つからないでしょう。売却しようとした場合も価格の下落は避けられません。

文句ばかり言っていても仕方ありません。孤独死対策にはどんな方法があるでしょうか。

「孤独死はよくあることで、特別なことではない」という認識への転換

「孤独死はよくあることで、特別なことではない」という認識が世間一般に浸透すれば、孤独死物件でも家賃を値下げせずに済むようになるかもしれません。ただし、世間の常識が変わるには数十年という期間が必要です。

孤独死早期発見体制の確立

入居者の生存状況が分かるシステムを用意できれば、孤独死発生後の原状回復費も最小限に抑えることができます。

  • 入居者さんに毎日ブザーやアラームを押してもらう
  • 管理会社または大家が毎日電話する

など、方法はいくらでもありそうです。
しかしいざ実施するとなると、ブザー押し忘れがあった時や、電話しても入居者が出ない時をどう考えるのか、そもそも毎日連絡する必要があるのか、などを考える必要もあります。

結局のところ、高齢者に入居してもらうとなると色々考えなければいけなくなるので、初めから高齢者を敬遠する貸主が多いのかもしれません。

(2016/04/09追記)
ALSOKが「みまもりサポート」というサービスを提供していることを知りました。
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※出展:ALSOK

まとめ:社会問題と契約の問題は個別に考える必要がある

この東京新聞の「老いて追われる」という記事は、

  • 生活保護
  • 無年金状態
  • 孤立した単身高齢者
  • 不当退去

という、本来個別に議論すべき4つの問題をひとまとめにして「弱者保護」の視点で書かれています。

生活保護も、無年金状態も、孤立した単身高齢者も、それぞれ憂うべき問題です。
しかし、「不当退去」とこの3つの社会問題をセットで考えてしまえば、誰だって弱者(=入居者)の味方をしたくなります。
「不当退去」なのか「正当退去」なのかは、本来個別契約と照らし合わせて議論すべき問題です。

行き過ぎた「弱者保護」は、事業者の設備投資・参入意欲を阻害します。東京新聞自身も事業者なのですから、もう少し公平な視点を持っていただければありがたいです。

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