借地権には、普通借地権と定期借地権という2種類があります。
この記事では、普通借地権について説明します。
※出展:合格しようぜ! 宅建士 2016 音声付きテキスト&問題集 下巻[権利関係等]。以下、出展元の記載がない場合は同著からの引用。
普通借地権の期間は?
借地権の存続期間は30年です。これ以上長い期間を定めることはできません。
更新する場合、最初の更新時の存続期間は20年。以降の更新では10年間となります。
普通借地権の法定更新
1.請求による更新
期間満了の際、借地の上に建物が残っている場合に限り、借地権者(借主)が契約更新を請求したとき、以前と同じ条件で契約を更新したものとみなされます。
2.使用継続による更新
借地の上に建物が残っていて、期間満了後も借主が継続して土地を使用している場合、契約は更新したものとみなされます。
例外
借地権設定者(貸主)が、「正当の事由」で異議を唱えた際には更新されません。
正当の事由とは、
- 貸主と借主が土地の使用を必要とする事情。
- 借地に関するこれまでの経過や、土地の利用状況。
- 貸主が、明け渡しの条件として立退料などの支払いをする旨の申し出があったかどうか。
の3つです。
借地上に建物が残っている場合は、正当の事由がない限り、貸主は更新拒絶をできないことになっています。
なお、上記「正当の事由」は昭和16年に創設された概念です。
普通借地権の借地上の建物の再建築
借地権の存続期間が満了する前であれば、建物が壊れてしまったあとで建物を再建築できる「再築の自由」が認められています。
建築に関して貸主の承諾があれば、借地権は「承諾があった日」または「築造された日」のいずれか早い方の日から、20年間延長されます。
建築に関して貸主が承諾しなかった場合は、貸主は契約の解約申し入れをすることができます。
普通借地権の対抗力
土地の売買があっても、借地権を破ることはできない。
土地の登記簿に土地賃貸借の登記ができなくても、自己名義の建物登記があればOK、対抗できます。
地代等増減請求権
借地権は長期にわたるため、地代が相場の実相にそぐわないことが生じる可能性が高いです。
そのため、地代の増減請求が認められています。
建物買取請求権
借地権の存続期間が満了した場合に、契約の更新がないときは、借主は貸主に対して、建物を時価で買い取るよう請求することができます。
競売で借地上の建物を落札した場合
第三者が借地上の建物を競売により取得した場合において、特に不利となる恐れがないにも関わらず、貸主が賃借権の譲渡・転貸を承諾しない時は、裁判所は第三者の申し立てにより、貸主の承諾に代わる許可を与えることができる。
ただし、建物代金支払い後2か月以内に限る。