家賃は月収の1割?!そんなバカな!驚きの激安住居費のからくり

不動産経営

政府の統計を見ていると、国民のみなさんは家賃にあまりおカネを使っていないようだ。

家賃は月収の1割?!

総務省統計局の「(品目分類)第9表 1世帯当たり品目別支出金額及び購入頻度(単身世帯)」を見た。
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※出展:家計調査|総務省統計局

この統計によると、働いている単身者世帯の月間消費支出は54万円。そのうち、住居費はたったの6万円となっている。

月間消費支出は月収とほぼ同じと考えて良い。
つまり、「家賃は月収の十分の一(11%)」という状況がこの統計から分かる。

この統計では持ち家世帯が約28%含まれているので、賃貸世帯に限れば住居費の比率はもう少し上がると考えられる。
例えば、住居費がゼロの人(持ち家世帯)が10人中3人。賃貸世帯が10人中7人とすると、平均住居費が6万円になるためには、賃貸世帯の人の住居費は約9万円必要。
※(0円×3人+9万円×7人)÷10人=6.3万円

9万円を54万円で割っても、せいぜい17%。

「家賃は月収の三分の一が目安」という話を、私は聞いて育った。
どうやら、根本的に考えを改める必要がありそうだ。

別の統計でも似たような状況

「家賃は月収の1割」という事実がにわかに信じがたかったため、別の統計資料も見てみた。
「第3表 都市階級・地方別1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯のうち勤労者世帯)」という資料だ。
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こちらの統計では、月間消費支出は18万円。そのうち、住居費はたったの2万円
消費支出が1/3に下がったと同時に、住居費も1/3に下がっている。
結局、「家賃は月収の1割」という状況は同じだ。

家賃の全国平均は5万円弱

それにしても、後者の統計の2万円という家賃は明らかに低すぎる。
たったの2万円では、固定資産税や修繕積立金などを支払ったらおカネがほとんど手元に残らない。
設備の補修や、退去後の原状復旧工事をする余裕もない。
借金返済があったら確実に赤字になってしまう。

ところで、民間がまとめている家賃の全国平均は以下のサイトから見ることができる。
rent-average
※出展:全国家賃動向|全国賃貸管理ビジネス協会

こちらのサイトによれば、2016年2月の全国平均の1R・1Kの家賃は48,132円。

こちらの方が、実際の民間賃貸住宅の家賃水準としては肌感覚に近い。
どうやら政府統計の激安住居費の秘密は、家賃ゼロの持ち家世帯と、圧倒的に安い家賃の公営住宅が紛れ込んでいることにあるようだ。

まとめ:家賃の値下げ競争は激化しているが、極度な悲観論は不要

現実的な視点を持つことは大事だが、悲観的な情報ばかりに目を奪われてもいけない。
政府や民間の統計にも目を光らせつつ、その時々で最適な手法に対応していく必要がありそうだ。

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