「大規模修繕」って経費として一括処理できないの?資本的支出と修繕費の区別が一目で分かる図解(フローチャート)

リフォーム・DIY

wallsteps

不動産経営で「大規模修繕」と言うと、

  • 外壁塗装
  • 屋上の防水工事
  • 屋根の葺き替え

などが思い浮かびます。

これら「大規模修繕」の中には、経費を一括処理できないものもあります。

大規模修繕とは?

建築基準法における「大規模修繕」とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕です。
つまり、構造上重要な壁、柱、床、梁、屋根または階段の一種以上の部分について、過半の修繕を行う場合を言います。

※出展:「建築基準法の基本と仕組みがよ~くわかる本」(不動産・建築行政法規研究会 著)

建築基準法では、壁・屋根等のどれか一つを半分以上修繕する場合を「大規模修繕」と呼んでいます。
私は、修繕費について勉強する前までは、「大規模修繕」=「規模の大きい修理」くらいにしか思っていませんでした。

資本的支出とは?

「大規模修繕」という言葉とは別に、「資本的支出」という会計用語があります。

リフォームの額が大きかったり、建物をグレードアップしたりするような支出は、「資本的支出」として扱われます。
「資本的支出」は、建物の償却期間に応じて減価償却を行わなければいけません。

償却期間は中古物件も新築物件も同様であり、

  • 木造:22年
  • 鉄骨造:34年
  • RC(鉄筋コンクリート)造:47年

となっています。

不動産経営においては「修繕費」を

  • 一年で一括計上できるのか
  • 何十年にもわたって償却しなければいけないのか

という差は非常に大きなものです。

例えば50万円のリフォーム工事の費用を、RC(鉄筋コンクリート)の償却期間である47年で償却しなければいけないとしたら、毎年1万円ほどしか経費として処理できないことになります。

銀行から融資を引きたくて利益を多く見せたいのであれば、47年償却にもメリットはあります。
しかし現金で不動産投資をしている大家さんにとっては、節税効果の大きい「一括償却」の方が魅力的です。

資本的支出と修繕費の判断基準は?

リフォーム費が「資本的支出」になるのか「修繕費」になるのかについては、次のようなフローチャートで判断することができます。

capital-expense

一番左の「20万円未満?」という質問から始めます。

例えばリフォームの費用が「20万円未満」だったら、「Yes」を選びます。緑色の矢印の方に進みます。その支出は「修繕費」として、一括計上可能です。
「20万円」を超えていた場合は「No」を選びます。赤色の矢印の方に進みます。

すると、「30万円未満かつ青色申告者?」という質問が出てきます。答えが「Yes」だったら、「少額減価償却資産」として一括計上可能です。ただし、年間300万円までです。
答えが「No」だったら、赤色の矢印の方に進みます。

次に「修繕周期3年以内?」という質問が出てきます。答えが「Yes」だったら、一括計上可能です。
答えが「No」だったら、赤色の矢印に進みます。

今度は「原状回復の範囲内?」という質問が出てきます。答えが「Yes」だったら、一括計上可能です。
外壁に新たにサイディングを取り付けたり、新しい外部階段を設置するような工事の場合は、原状回復の範囲を超えています。そのリフォーム工事は「価値を高めるもの」と判断されます。
「価値を高めるもの」の場合は赤色の矢印に進みます。「資本的支出」として減価償却処理します。

原状回復の範囲内かどうか不明な場合は、青色の矢印「不明」に進みます。
「60万円未満?」という質問が出てきます。答えが「Yes」だったら、一括計上可能です。
答えが「No」だったら、赤色の矢印に進みます。

最後に「取得価格飲の10%以下?」という質問が出てきます。
800万円で購入した建物の場合、80万円以下のリフォーム費であれば「修繕費」として処理します。
80万円を超える場合は赤色の矢印に進み、「7:3基準」で処理します。

「7:3基準」とは、

支出額の30%か前期末取得価額の10%のうちのいずれか少ない金額を修繕費とし、それ以外を資本的支出とする経理方法で、継続的に適用している場合に認められる基準

のことです。
※出展:ノムコム

まとめ

不動産投資をしていると、修繕やリフォームを避けて通ることはできません。中古物件であればなおさらのことです。
修繕費の経費処理で不明な点があった場合には、税理士等に相談することも検討してみてください。

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