【日独比較】6)その他の違い

気候変動

これまで日本とドイツのさまざまな違いを挙げてきましたが、他にも下記のような違いがあります。
・省エネ政策
・地方分権
・外交
・教育
・政権

■省エネ政策

日本では個人住宅に関して断熱化の義務はありませんが、2025年には義務化される予定です。
ドイツでは建築物への断熱化(および大規模改修時の断熱工事)が義務付けられています。

日本:

1980年、省エネ法が制定。
2009年、住宅トップランナー制度の導入。

EU:

2002年、建築物のエネルギー効率に関する指令
2004年、CHP(熱電併給)指令。バイオマスなどの再エネ熱供給の普及に拍車がかかった。

ドイツ:

1984年、建築物の外断熱の義務化。
1995年、断熱性の高い窓ガラスの義務化。
2002年、省エネルギー政令の制定。建築主に対して新築及び大規模改修時に断熱工事が義務づけられた。
2007年、再生可能エネルギー熱法では50平米以上の新築建築物の熱供給に、一定割合の再エネを利用する義務を課した。

■地方分権

日本では、明治維新から現在まで中央集権体制が続いています。
ドイツでは、ナチスドイツの一時期を除いて、連邦制による地方分権体制が継続しています。

連邦制においては、教育や地方自治などは州政府に任されています(外交や国防などは中央政府が担当)。
ドイツでは地域住民主導で再エネ発電所の開発が行われており、再エネ発電設備の所有者の約2分の1が地元関係者(参考:自然エネルギー財団)となっています。
日本では、市民発電所の割合は約13%です(参考:市民発電所台帳2021資源エネルギー庁)。

■外交

ドイツは、第二次世界大戦の戦後処理で周辺国の理解を得たため、EUの主導権を握ることにも成功しています。
日本は、周辺アジア国との関係構築に今でも苦労しています。

■教育

ドイツでは「自分で考えて表現すること」に重点が置かれています。この教育方針が「議論好きなドイツ人」のもとになっています。
かたや、日本では「正解に早くたどりつくこと」が重要視されています。

■政権

ドイツでは1998年から、連立与党に緑の党が参加しています。
日本では緑の党は議席数ゼロです(2022年時点)。

■まとめ

日本とドイツの再生可能エネルギー導入量の差は、元をたどればEU指令によるところが大きいです。
そしてEU成立の背景には、2度の世界大戦の反省があります。
また、EU全体が再生可能エネルギーに舵を切った背景には、チェルノブイリ原発の事故や、ロシアからの原油・ガス輸入に頼りたくないという安全保障上の理由もあります。
EU要因以外にも上で挙げたような諸要素があり、日本が一朝一夕にマネできるものではないことが分かります。

参考文献:
地域分散型エネルギーシステム(著:大島堅一ほか)
ドイツエネルギー変革の真実(著:山家公雄)
再生可能エネルギー政策の国際比較(著:植田和弘ほか)
地球環境市民会議|「電力自由化の到達点(著:安田陽)」

※アイキャッチ画像:Sasin TipchaiによるPixabayからの画像

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