「中年サラリーマンが壮絶な貧困に陥る」おれのこと?

読書

◼️日本が「壊れた後に」のマチガイでは?

「日本が壊れる前に」という本を読みました。

本のタイトルがすでに「あおり」っぽいですが、読後の感想をひとことでいうと「すでに壊れているのでは?」です。

日本崩壊ぶりの具体例を本書から抜きだすと、
・自分自身を演出、ブランディングできる人しか生き残れない。
・使い道のない中年男性は、自殺や餓死に追い込まれる。
・女子大生が売春をして精神を病んでも、零細企業の経営者が首を吊っても、財務省にとっては痛くもかゆくもない。
といった感じです。

◼️ 「日本が壊れる前に」の概要

「日本が壊れる前に」(著:中村淳彦・藤井達夫)は、ここ30〜40年ほどの間に日本が貧困化してきた過程を、「新自由主義」の視点から解説した書籍です。風俗や水商売の現場から、近未来予想も試みています。

ところで、「新自由主義」はあまり一般的な言葉ではありません。

「新自由主義」とは、あらゆるものを売り買いできるようにすることで、個人や企業の選択の自由を最大化を目指す政治思想です。「ネオリベ(=ネオ・リベラリズム)」と呼ばれることもあります。

ちなみに「新」が付かない「自由主義(リベラリズム)」は、富の再分配や公正な社会を重視しており、政府の規制や介入を容認しています。

要は、
・労働の非正規化
・低賃金
・ブラック労働
・自己責任論
・格差社会
・一般女性の性風俗への参入
などの貧困が拡大した原因は「新自由主義」にある、というのが本書のメッセージです。

◼️ 中年サラリーマン男性が壮絶な貧困に陥る

本書から、私の印象に最も強く残った一文を引用します。

「令和の時代には50代から60代のサラリーマン男性が壮絶な貧困に陥る」

その理由は本書内で詳細に語られていますが、具体的な対策としては、
・外見的な劣化を食い止める。
・融通をきかせる。
・新しい情報を積極的に取り入れる。
・コミュニケーション力を上達させる。
・性格を改善する。
・偉そうにしない。
・他人を気づかう。
・生活力を高める。
といったことが必要になってきます。

要約すれば「魅力的な人になりましょう」ということです。

◼️ 30代〜40代の男性サラリーマン向けの書籍

本書は、30代〜40代の男性サラリーマンに最も刺さる書籍です。新しい時代に適応していくための指針として役立ちそうです。

◼️ 政治への無関心がもたらすもの

日本社会崩壊の原因は私たち国民の政治への無関心にもある、と本書は指摘しています。

もはや、新自由主義に順応していかなければ、生きていくことも難しい社会になってしまいました。かといって、新自由主義が浸透する前の昭和時代にも問題点はありました。セクハラ・パワハラの蔓延、進路や転職の選択肢の少なさなどです。

◼️ 残された希望:「まだ壊れてはいない」

「日本が壊れる前に」という書籍名で著者の中村さんが示したかったのは、「まだ完全には壊れていない」という希望ではないでしょうか。知らんけど。

戦乱期や無政府状態に比べれば、現在はまだ最悪期ではありません。私たち国民の選択と行動次第で、少しずつ建て直していくことはできる。そんなメッセージを本書は投げかけているように感じました。

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