「52ヘルツのクジラたち」を読んで大分のとり天を激しく食べたくなった

読書

町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」を読みました。

52ヘルツのクジラたち|特設ページ|中央公論新社
町田そのこさん著 書籍「52ヘルツのクジラたち」の特設サイトです。二〇二一年本屋大賞第一位。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年の新たな魂の物語――。〈解説〉内田 剛

「52ヘルツのクジラたち」は、両親の愛を充分に受けられずに育った子どもたちの成長物語です。
一言で感想を言うなら、「世界は残酷で不平等」です。
虐待を受けずに育っただけでも、私は非常に幸運で恵まれていたんだなぁ、と実感しました。
この本は、「日常生活に特に大きな不満はないけど、なんとなく退屈」という人にこそ読んで欲しい1冊です。きっと、他人に優しく接したくなりますよ。

(以下、ネタバレを含みます)

MVP「村中さちゑ」

本書の登場人物の中で私がMVPを与えたい人物は、「村中さちゑ」さんです。
主人公が家の修理を依頼した大工(村中さん)の祖母に当たる人です。
物語当初は、引っ越してきたばかりの主人公を風俗嬢だと勘違いして噂を流していた、とんでもないBBAとして描かれています。しかし、終盤では主人公のよき相談相手として味方になってくれます。

個人的に幽遊白書の玄海師範っぽいな、と思って読んでいました。

「ひとというのは最初こそもらう側やけんど、いずれは与える側にならないかん。」
というセリフが、説教っぽくはありつつも共感できるものでした。

他にも、主人公の親友の美春、虐待されていた少年の祖母の昌子さん、その旦那の秀治さんなど、魅力あふれる登場人物が脇を固めています。

MVF(Most Valuable Food)「とり天」

話は変わりますが、本書の中で出てくる大分名物「とり天」の描写がとても美味しそうだったので、「とり天食いたい!」の気持ちが止まりません。
以下引用します。

鶏の唐揚げを想像していたので、ふわふわの衣をまとったとり天にちょっと驚く。
初めて食べると言うと、村中がポン酢で食べると旨いと勧めてくる。
「その小皿にこのポン酢入れて、辛いのが好きなら柚子胡椒を混ぜるといい。あと、シンプルに塩も旨い」
村中に言われるままにポン酢に少し浸して食べる。鶏の脂がじゅわっと染み出てくるけれど、ポン酢のお陰であっさりしている。美味しい、と小さく呟くと村中が嬉しそうに笑った。
「この辺りの人間は、それぞれお気に入りのとり天屋がある。自分で作るのが一番って言う人も多いかな」

オリジン弁当で買うとり天とはまるで別物…。
よし!ワクチン打ったら絶対大分に旅行に行ってやる!と決意を新たにするのでした。

九州って関東からはちょっと遠くて行きづらいですが、その分特別感があって惹かれるものがあります。気軽に旅行できる日々が早く戻って来て欲しいものです。

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