損して得取れ

リフォーム・DIY

「損して得取れ」ということわざがあります。一時的に損をしたと感じても、めぐりめぐって自分が得をすることになる。大家業をやっていると、そう感じる時があります。

■きっかけ:「エアコンの調子が悪い」

先日、入居者さんから電話がありました。手がふさがっていて電話には出られなかったのですが、留守電が残っていました。留守電の内容は、
「エアコンの調子が悪い。」
というものでした。

■対応:24時間勤務明けで直行

その日、私は24時間勤務でした。仕事が終わったら、すぐに家に帰って寝たいところです。しかし、この入居者さんは数日前に入居したばかりです。初期対応に失敗するとトラブルに発展する可能性があるため、眠気をこらえて入居者さんのもとに向かいました。

途中でデパートに寄り、引っ越し祝いのお菓子詰め合わせを購入しました。入居者さんに渡すと、恐縮しながらも喜んで受け取ってくれました。

■エアコンのリモコンが反応しなくなった

エアコンの状態を確認してみると、リモコンが反応しなくなってしまったようです。このエアコンは以前の持ち主が設置していたもので、かなり古い型です。私がこの物件を購入した時にはすでにリモコンが壊れていて、汎用リモコンを購入して設置していました。
※汎用リモコンとは、いろんなメーカーのエアコンに対応できる別売りのリモコンのことです。

どうやら、
エアコンを2台同時に運転。

ブレーカーの容量を超えた。

ブレーカーが落ちた。

エアコンが初期化されてしまった。

汎用リモコンが反応しなくなった。
という状況のようです。

説明書を確認し、汎用リモコンの「セット」ボタンを押しっぱなしにしてエアコンに向けること数秒。エアコン本体から「ピッ」という音がして、リモコンが作動するようになりました。

これで一件落着、とはなりませんでした。
入居者さんいわく、
「エアコンの効きが悪い。あまり暖かくならない。ガー、という変な音もする。」
とのことです。

■交換すべきか、契約書を盾に逃げるか

契約書の上では、この部屋のエアコンは「残置物(ざんちぶつ)扱い」にしていました。残置物扱いとは、
「動作保証はしませんが、使える間は使ってもらってよいですよ。」
というなかなか薄情な設定のことです。よって、大家の私に交換義務はありませんが、寒い真冬のしかも年末に、調子の悪いエアコンを押し付けるのもどうかと考えました。

交換するにはよい機会だと捉えることにしました。
「エアコンの交換をしてもいいですか?年末なので、すぐには工事できないかもしれませんが。」
と提案しました。契約書の修正が必要なことも伝えました。
入居者さんからは、「お願いします」との返事でした。
早速交換の準備に取り掛かります。

■工事完了まで掛かった期間・費用

【期間:1か月弱】
1日目:入居者さんから「エアコン調子悪い」の連絡もらう。
2日目:エアコン交換の提案をする。エアコン購入。工事業者選定。
4日目:エアコン納品。
14日目:工事に入るも、コンセント増設が必要と判明したため、リスケジュール。
26日目:工事完了。

【費用:11万円弱】
エアコン本体:約5万円、工事費:約6万円。

年末年始をはさんだこともあり、工事完了まで1か月近くかかってしまいました。

■結果的に良かったこと

エアコン納品から工事までの間が長くなり迷惑をかけてしまいましたが、入居者さんは文句ひとつ言わずに待ってくれました。

後日、エアコンとは別の設備不良に関しても、入居者さんから「自分で直してもよいか?」という提案がありました。もちろん、こちらとしては大歓迎です。暮らしやすいように入居者さん自ら動いて下さるのは、とてもありがたいことです。
※実費は負担させていただきました。

携帯のSMSも交換できるようにしておいたので、何か不安や問題があればすぐに対応できるようになりました。

一時的な出費はかかりましたが、良好な関係を築くことができました。

■教訓:ケチるな。最初の対応が肝心。

「金は天下の回りもの」、
「損して得取れ」、
「情けは人の為ならず」
など、昔からのことわざには商売の本質が表現されています。支出を切り詰めることも大事ですが、お客さんのための投資は惜しまないように心掛けたいものです。

不動産投資をしていると、利回りを唯一絶対の基準として考えてしまうときがあります。利回りとは、利益を総投資額で割ったパーセンテージのことです。リフォーム費用も総投資額の一部なので、リフォーム費をケチって、家賃を高く設定すれば、利回りは高くなります。

しかしいくら利回りが高くても、入居者さんの満足度が低くてすぐに退去してしまったり、年中クレーム対応が必要になってしまったら、余計な心労が増えるだけです。

適切な利回りがどのくらいなのかは今でもよくわかりませんが、高すぎても低すぎてもいけないような気はします。

※アイキャッチ画像:Thanapat PirmpholによるPixabayからの画像

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