不動産投資で使える15の節税対策

不動産経営

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※出展:幻冬舎Gold Online

不動産投資で所有物件を順調に増やしていくと、頭を悩ませる問題が浮上してきます。それが「税金」です。

所得金額が900万円を超えると税率は33%、1,800万円を超えると40%と、儲かれば儲かるほど税率は高くなります。

◇所得税率表

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円以上 10% 97,500円
330万円以上 20% 427,500円
695万円以上 23% 636,000円
900万円以上 33% 1,536,000円
1,800万円以上 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

※出展:国税庁

公共サービス維持のためにも「脱税」は許されませんが、可能な限り「節税対策」をすることは認められています。
不動産投資における主要な節税対策について、以下に説明します。

不動産投資に関する節税対策

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※出展:North East Lincolnshire

まずは、不動産投資に特有の節税対策です。

1)減価償却費

不動産投資は大きな買い物です。
建物の費用(=資産価値)は、数年に分けて「償却」することが認められています。
「償却」とは、毎年の売上(家賃収入)から差し引き可能な「費用」のことです。

構造によって償却期間(=耐用年数)は異なります。
木造、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)の構造別に償却期間を記します。

新築
構造 償却期間
木造 22年
S造 34年
RC造 47年

※軽量鉄骨造は「19年」

中古

中古住宅の場合、上記耐用年数が既に過ぎているかどうかで、償却期間が変わってきます。
耐用年数が過ぎている場合、新築時の耐用年数の20%になります。

構造 償却期間
木造 4年
S造 6年
RC造 9年

耐用年数がまだ残っている場合は、以下の計算式で求めます。
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または、
耐用年数 - (経過年数 × 0.8)
でも同じです。
木造で築10年の中古物件を購入した場合、償却期間は「14年」となります。
(22年-10年)+10年×20%=14年
※出展:楽待

">国税庁

2)買い替え特例

不動産を売却して利益が出た場合、税金が掛かります。
税率は、不動産の保有期間によって異なります。

保有期間 税率
5年以内 39%(短期譲渡所得)
5年超 20%(長期譲渡所得)

購入してから5年以内に売却して利益が出た場合、39%もの税率が掛かってしまいます。
不動産の短期売買は、あまり割のいい投資ではないことが分かります。

もし保有期間が10年以上でさらに下記の条件に当てはまれば、「事業用資産の買い換え特例」というものが受けられます。

  売った物件 買った物件
1 東京都23区、大阪市などの既成市街地等内にある事務所や事業所として使用されている建物(住宅の貸付は該当しない)又はその敷地用の土地で、その譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるもの 既成市街地等でない地域(国内に限る)にある事業用の土地等、建物等
2※ 譲渡の日の属する年の1月1日現在の所有期間が10年を超える国内にある事業用の土地等や建物 国内にある事務所等の一定の建築物等の敷地の用に供されている土地、建物等で土地等についてはその面積が300平米以上のもの

※平成29年3月31日までの譲渡に限る

例えば、300万円で購入した不動産を、10年後に500万円で売った場合、40万円の税金が掛かります。
※(500万円-300万円)×20%=40万円

もし売却後に400万円の不動産を新たに取得し、取得から1年以内に入居者さんが決まった場合、税金は約16万円となります。
※売却にかかった費用を50万円、購入にかかった費用を40万円とする。
{500万円×20%-(50万円+40万円)×20%}×20%=16.4万円

節税効果は約24万円です。

※出展:国税庁

3)資本的支出と修繕費の境界

中古不動産のリフォームを行う場合、リフォーム費用を何年かに分けて計上するよりも、全額「経費」として一括計上した方が節税効果は大きいです。

しかし、リフォーム費が高額だったり、「資本的支出」になってしまった場合、費用を数年に分けて計上する必要が出てきます。

「資本的支出」と「修繕費」を分ける基準は、以下のように決まっています。

費用が20万円未満または修繕周期が3年以内であれば、経費として扱うことができます。
費用が60万円未満、または不動産取得費用の10%未満の場合も、経費にすることができます。

表にまとめると次のようになります。

費用 経費扱い
20万円未満 可能
60万円未満 資本的支出か修繕費か明らかでない場合、可能

国税庁によれば「資本的支出」とは、「資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増加させたりする」支出とされています。例として、

  • 物理的に付け加えた部分
  • 用途変更のための模様替え
  • 改造又は改装

が挙げられています。
外階段の追加、デザイン変更、間取りの変更などは「資本的支出」と言えます。

※出展:国税庁

青色申告に関する節税対策

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※出展:Accounting Job Done

青色申告をすると受けられる、さまざまな税金上の措置があります。
※青色申告には、複式簿記の記帳および、確定申告時に貸借対照表及び損益計算書の提出が必要

4)所得税基礎控除

確定申告を行えば適用される控除です。10万円です。
※「控除」とは、課税前所得から差し引くことのできる金額。

5)青色申告特別控除

青色申告をすると、10万円または65万円の控除を受けることができます。
不動産所得が10万円未満の場合、または「現金主義」を選択している場合には、10万円の控除しか受けられません。

ところで、「現金主義」とは何のことでしょう?
帳簿の付け方には、

  1. 発生主義
  2. 現金主義

の2種類があります。
「発生主義」は、収入や支出が確定した時点で計上する方式で、「現金主義」は、現金収入や支出があった時点で計上する方式です。

「発生主義」では、売掛金や買掛金などを計上することになり、現金が発生した時点でそれらを相殺する必要があります。
このため、「発生主義」は「現金主義」よりも多少複雑になります。

「現金主義」であれば、この二重の手間を省くことができ、家計簿と同じ感覚で記録することができます。
ただし、「5棟10室基準」という制限があり、保有物件が5棟または10室以上になった場合には、「現金主義」で帳簿を記録することは認められていません。

国税庁

6)青色申告の赤字3年繰り越し

青色申告をしている場合、赤字額を3年間繰越すことが認められています。
赤字額は、翌年の課税前所得から差し引くことができます。

個人支出に関する節税対策

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※出展:bAW

他にも、日常的な支出を経費とすることができます。

7)小規模企業共済

個人事業主のための退職金・老齢給付金です。
掛け金は毎月千円~7万円の間で選べます。
※出展:中小機構

8)交際費・会議費

社外の人との打ち合わせを兼ねて飲食をした場合、「会議費」として経費にできます。ただし、いつ・どこで・どんな内容を話したか、について記録を残しておく必要があります。

一人当たりの費用が5000円を超える場合は、「交際費」として扱うことになります。資本金1億円未満の法人の場合は、年間800万円が交際費の限度になっています。

9)少額減価償却資産

購入資産が30万円未満の場合、「少額減価償却資産」として一括償却できます。
ただし、合計で年間300万円までという制限があります。

※出展:国税庁

10)自動車・交通費

自動車を業務で使う場合、業務利用割合分を経費扱いにすることが可能です。
ガソリンや高速道路代も経費になります。
業務目的での電車・バス利用の交通費も、経費とすることができます。

11)役員社宅・住居費

家賃などの住居費のうち、仕事で利用している部分の割合を経費にできます。

12)水道光熱費

自宅兼事務所の場合、住居費と同等の割合を経費にできます。

13)携帯電話

業務で使用している携帯電話の利用料を経費にできます。

14)福利厚生費

従業員がいる場合に限定されますが、従業員への通勤手当・旅行費用、事務所の消耗品費用などを経費にすることができます。

15)出張費

業務に関する出張旅行の旅費を経費として計上できます。

売上からどれだけ費用を差し引けるかが肝

上記で挙げた節税対策は基本的に、売上(家賃収入)から費用を差し引くことで、「所得」を低く抑えることを目指しています。
「所得」を低く抑えることが、節税の基本です。

なお、この記事で説明した節税対策はあくまでも2016年1月現在のものであり、税改正とともに有効ではなくなる可能性はあります。
また、私自身は税理士ではありませんので、上記の節税対策によって万が一損害が発生したとしても一切責任を負うことはできません。あくまでも参考資料としてご覧ください。

もし具体的な税金相談をご希望であれば、税理士等に別途相談されることをおすすめします。

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