【第2章】2) 購入の流れ

※出展:TCU

価格交渉がまとまったら、次は購入(売買契約と残金決済)に移ります。
大きく分けて、

  • A) 買付証明書
  • B) 売買契約
  • C) 残金決済

という三段階が必要です。

A) 買付証明書

「買付証明書」とは、買主が
「この物件をこの価格で買いますよ」
という意思表明を行う書面です。

次のような書類です。
司法書士の相見積もり

契約の際には、司法書士さんに移転登記をお願いする必要があります。
登記は自分でやれないこともないと思いますが、私は余計な心配を増やしたくないので、司法書士さんにお願いしています。

登録免許税を除いた司法書士費用は4~5万円といったところです。
(日当・旅費等含む)
専門家に半日ほど動いてもらう費用としては妥当な額と思われますが、できれば少しでも安くしたいものです。

相見積もりをしなくても、不動産屋さんが付き合っている司法書士さんを紹介してもらえば契約自体は可能です。

それでも、可能でしたら相見積もりはおこないましょう。
相見積もりで1~2万円くらい節約できる可能性があります。

以下は、私が相見積もりを取った時の見積書です。

司法書士A
タウンページや都道府県の司法書士会のホームページなどで目星をつけ、物件近隣の司法書士さんに見積もりを依頼しています。

独自に取得した見積もりと、不動産屋さんから紹介された司法書士さんの見積もりとを比較してみましょう。
最低でもこの二件を比較して、安い方か、信頼できそうな方にお願いするようにしましょう。

B) 売買契約

不動産屋さんの事務所で、手付金の支払いと契約書等の捺印を行います。
所要時間は一時間前後です。

「手付金」は、売買代金の約20%を着手金として支払うものです。
20%が中途半端な額になるようでしたら、十万円単位のキリのいい額でも大丈夫です。

契約の話になったら不動産屋さんに
「手付金は○○万円でいいですか?」
と確認してみてください。

ちなみに、この売買契約を行った後で「やっぱりやめた」とキャンセルしてしまうと、違約金が発生します。
違約金は売買代金の20%なので、この手付金が没収される形になります。
売買契約には真剣な気持ちで臨みましょう。

契約日に取り交わす書類は主に3種類あります。

[1] 重要事項説明書

1つ目は、売主・買主双方の署名捺印をした「重要事項説明書」です。
「重説」(じゅうせつ)と略されることもあります。

賃貸住宅を借りる際にも「重要事項説明」がありますが、似たようなものです。
登記簿の情報や、土地の開発に関する法令、設備の状況、取引条件などを確認するための書類です。

[2] 契約書

2つ目は「契約書」です。
金銭に関する内容が中心です。

[3] 一般媒介契約書

3つ目の「一般媒介契約書」は省略されることも多いですが、不動産屋さんが仲介業務を行うにあたって必要になる契約書です。

収入印紙の代金は折半

これらの契約書に貼る収入印紙は、売主と買主で折半します。
事前に不動産屋さんが用意してくれていますので、印紙相当額を不動産屋さんに渡すだけです。
領収書を受け取るのを忘れずに。

C) 残金決済

売買契約が終わった後は、「残金決済」(「引き渡し」とも言います)を残すのみです。
購入価格から手付金を引いた残りの金額を支払って、物件の鍵を受け取ります。

所要時間は1~2時間くらいです。
決済場所は、不動産屋さんの事務所か、売主さん宅のいずれかになることが多いです。
以下に、実際の流れを記載します。

残金決済当日の流れ

10時50分、決済場所の売主さん宅に到着。
司法書士さんと不動産屋さんは先に到着していました。
少々お待たせしてしまったようです。
軽く「お待たせしました」とお詫びします。

待ち合わせ時刻は11時でしたので、特に遅れたわけではありません。
が、重要な日なので早めに到着しても良かったかもしれません。

売主様から、自治会の誓約書類を預かります。
(自治会がある地域のみ)

「今日中に自治会長さんへ郵送して、電話も入れておきます。」と売主さんにお伝えします。

司法書士さんから、登記手続き委任状の説明を受けます。
売主・買主双方が署名捺印をします。

売主様から司法書士さんへ権利書が渡されます。
司法書士さんが権利書を登記簿と照会します。

この日の物件はテラスハウス(共有持ち分が多い)だったので、確認に15分ほどかかりました。

登記簿照会終了。
不動産屋さんが
「それでは残金決済を・・・」
と切り出されたので、三つの封筒にあらかじめ分けて入れておいた現金を出します。

売主様に、残金・固定資産税日割り金・自治会費日割り金。
司法書士さんに、登記費用。
仲介会社さんに、仲介手数料半額(残りの半額は契約時に支払い済)をそれぞれ支払います。

物件引渡し確認書に売主・買主双方が署名捺印。
それぞれが受け取ります。

各自、現金のカウントが終了しました。
領収書に売主様が署名捺印して、買主(私)が受け取ります。

司法書士さんから、
「権利書到着まで一週間~十日かかりますのでお待ちください」
という説明を受けます。

以上で残金決済手続き自体は終了です。

まだ売主さんが住んでいる物件でしたので、鍵の受け取りは売主さんのお引越し後になります。
鍵の受け渡し手順について、売主さんと不動産屋さんとで、その場で口頭取り決め。
お引越し日に不動産屋さんが売主さんから鍵を受け取り、週末に私が不動産屋さんから鍵を受け取ることになりました。

12時30分、解散しました。
所要時間は1時間40分でした。

ご近所あいさつ

決済当日でも、その後のリフォームの途中でも構いませんので、ご近所の方々(最低でも両隣)にご挨拶しておくことも大切です。
例えば、私は次のようにあいさつしました。

「○○さんからこちらのお家を譲り受けた△△と申します。
貸家にするつもりでリフォームを予定しています。
業者さんの出入りなど、何かとご迷惑をお掛けするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
何かございましたらこちらにご連絡いただければと思います。」
(お土産と一緒に、名前・住所・電話番号等を書いた名刺等を渡す)

ご近所さんを何度か尋ねても不在でしたら、あいさつ文と名刺を封筒に入れて、ポストに投函しておいてもよいでしょう。

現金の準備

現金の準備には、意外と注意が必要です。

次の3点を、余裕を持って実施しておくことをお勧めします。

  1. 決済日の一週間前には、現金全額を準備しておく
  2. ATMでの一日の引き出し限度額を確認しておく
  3. 複数の銀行に分けて、預金しておく

例えば、残金決済が土日祝日だったとします。
その前日の銀行営業日、金曜日に資金を引き出しに行ったと仮定しましょう。
全財産は一つの銀行に預けてあることにします。

決済には数百万円が必要なのに、数十万円でATMの引き出し限度額に引っかかった場合、決済用の資金を用意することができません。
他の銀行に預金を分散していない場合、他の銀行から引き出して補充することもできません。

想像するだけでも恐ろしい事態です。

残金を用意できなければ、手付金(購入価格の約20%)は違約金として没収されてしまいます。
これまで何十件も物件を見てきた努力も水の泡です。
もしくは、キャッシングをするか、家族や友達から借金でもするか・・・。

銀行の引き出し限度額も年々厳しくなっているようです。
決済日が決まったら、銀行のHPなどで最新の引き出し限度額を確認しておくのが良いでしょう。


landlord-manual”>貸家業トップへ

silversoulgoldをフォローする
シンプル不動産経営
タイトルとURLをコピーしました