物件購入時の「重要事項の説明」で注意すべき箇所

不動産を購入する際には、「重要事項の説明」を受けることになります。

「重要事項の説明」は宅建業法で規定されており、契約成立前に不動産屋さんが買主に説明をしなければいけません。
何回か購入を繰り返していると油断して、「あー、分かってますよ。ハイハイ」などと話半分で聞いてしまう可能性があります。
この記事では、不動産屋さんの熱心な説明を「儀式」や「義務」にしてしまわないためにも、「重要事項の説明」で注意すべき点について紹介します。

不動産を入手するためには、

  1. 物件調査
  2. 契約
  3. 引き渡し

という3段階をへる必要があります。
上記の「2.契約」の段階で、最初に「重要事項の説明」を受けることになります。

重要事項説明書(35条書面)とは?

1)宅建業者は買主や借主に対して、取引物件に関し契約が成立するまでの間に、取引士をして重要事項を記載した書面(重要事項説明書)を交付して、説明させなければならない。
2)取引士は、重要事項の説明をするときは、取引士証を提示しなければならない。
3)重要事項説明書には、取引士の記名押印がなければならない。

※出展:合格しようぜ! 宅建士 2016 音声付きテキスト&問題集 上巻[宅建業法・法令上の制限]

重要事項の説明のポイント

義務 宅建業者にある
時期 契約前におこなう
説明相手 買主または借主(お金を払う人)に対しておこなう
説明者 宅地建物取引士がおこなう
取引士証の提示 相手から請求されなくても提示する義務がある
説明書を交付する人 宅地建物取引士が公布する
説明書に記名押印する人 宅地建物取引士が記名押印する
説明する場所 どこでも可


重要事項としての説明事項にはどんなものがある?

大きく分けて、

  1. 客観的状況
  2. いまのところの取引条件
  3. マンションの場合の特有事項
  4. 賃借の場合の特有事項

の4点があります。それぞれについて以下に説明します。

1.客観的状況

A) 登記された権利の種類、内容

現時点での登記簿上の所有者。借地権、借家権、抵当権など。抵当権が抹消予定であっても説明が必要です。

B) 法令上の制限

都市計画法や建築基準法、農地法や宅地造成等規制法などの制限。低層住宅しか建てられない場合はその旨について説明を受けます。
賃借の場合は、用途制限・建ぺい率・容積率に関する説明は省略されます。

C) 私道負担に関する事項

敷地面積のうち、私道部分の面積や負担金(あれば)などについて。
賃借の場合は省略されます。

D) 飲用水・電気・ガス・排水施設の整備状況

すぐに飲用水・電気・ガス・排水施設(下水道)が使えるかどうか。都市ガス・プロパンガスの違いなど。未整備の場合、整備負担金などについて説明を受けます。

E) 未完成物件の場合は完成時の形状・構造等

新築等でまだ完成していない場合、完成時の形や構造の説明を受けます。図面も添付されます。
宅地の場合は、形状・構造・前面道路の幅員等。
建物の場合は、形状・構造のほか、工事完了時の内装・外装・仕上げ・設備等。

F) その他国土交通省令・内閣府令で定める事項

以下3種類、防災上安全であるかどうかについて説明を受けます。

  1. 造成宅地防災区域内にあるときはその旨
  2. 土砂災害警戒区域内にあるときはその旨
  3. 津波災害警戒区域内にあるときはその旨

これらは賃借の場合にも説明される項目です。

その他、

  1. 石綿(アスベスト)使用有無・調査結果がある場合はその内容について
  2. 耐震診断を受けている時はその内容について(昭和56年5月31日以前築の建物)
  3. 住宅性能評価を受けた新築住宅である場合はその内容について(賃借の場合は不要)

の3点についても説明を受けることになります。

2.いまのところの取引条件

A) 代金・借賃以外の金銭の額と授受の目的

申込証拠金や手付金。
賃借の場合は敷金、補償金、礼金、権利金、更新料などに関する説明になります。

B) 契約の解除に関する事項

どのような場合に解除できるのかについて。特に定めがなければ「ありません」と説明されます。

C) 損害賠償の予定・違約金に関する事項

予定されている損害賠償額の有無。予定がない場合は「ありません」と説明されます。

D) 手付金等の保全措置の概要

宅建業者が売主で、一般の人が買主となる場合、売主が保全措置を講じることがあります。その保全措置の概要の説明を受けます。

E) 支払金・預かり金の保全措置の概要

支払金・預かり金が発生する場合は、保全措置について説明されます。
保全措置は任意です。

F) あっせんする住宅ローンの内容と、不成立の場合の措置

買主が宅建業者から金融機関のあっせんを受ける場合、その融資条件や融資が不成立となった場合に買主が契約を解除できるか、について説明を受けます。

G) 瑕疵担保責任の履行措置の概要

宅建業者が新築住宅を売買する場合、売主は10年間は瑕疵担保責任を負います。これは住宅品確法によって定められています。
保証保険契約や銀行による連帯保証、住宅瑕疵担保補償金を供託するかどうかについて説明を受けます。

H) 割賦販売に関する事項

分割払いの場合の総支払額や支払時期などについて説明を受けます。

3.マンションの場合の特有事項

当サイトでは中古戸建を中心に扱っているため、区分所有(マンション)については概要だけ記載します。

  1. 建物の敷地に関する権利の種類・内容
  2. 共用部分に関する規約
  3. 専有部分の用途・利用制限に関する規約
  4. 建物または敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約
  5. 建物の計画的な維持修繕のための費用の積み立てを行う旨の規約、既に積み立てられている額
  6. 建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
  7. 修繕積立金などを特定の者に減免に関する旨の規約
  8. 建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容
  9. 建物や敷地の管理が委託されているときは、受託者の商号、事務所所在地

売買ではなく賃借の場合は、1.と9.に関してのみ説明を受けることになります。

4.賃借の場合の特有事項

賃借についても概要だけ記載します。

  1. 台所、浴室、便所その他の設備の整備の状況
  2. 契約期間、契約の更新に関する事項
  3. 定期借地権、定期借家契約、就寝建物賃貸借契約のしようとするときはその旨
  4. 宅地や建物の用途、その他の利用の制限に関する事項
  5. 敷金など、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項
  6. 宅地や建物の管理が委託されているときは、受託者の商号、事務所所在地
  7. 契約終了時における宅地上の建物の取り壊しに関する事項を定めようとするときはその内容

1.については建物の賃借の場合のみ説明を受けます。
7.については宅地の賃借の場合のみ説明されます。

重要事項説明で注意すべき箇所は?

以上、「重要事項の説明」について見てきました。
このうち不動産投資で重視すべき項目は、「1.客観的状況」に属する部分です。
中でも、

  • A) 登記された権利の種類、内容
  • F) その他国土交通省令・内閣府令で定める事項


の2点に関しては入念な確認が必要です。

物件調査時に登記簿はチェックしているはずですが、見落としている箇所や不明点があるかもしれません。
また地域の防災状況に関しては、入居者さんを見付けやすいかどうかに直接かかわってきます。
少なくともこの2箇所には注意して「重要事項の説明」を受けるようにしましょう。

横浜不動産勉強会(横浜インベスターズ)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする