雨漏りアパートを見抜く5つのチェックポイント。天井からの水漏れで大損害を被らないためには。

リフォーム・DIY

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念願のアパートを購入♪
入居者も見つかり、順調に家賃が振り込まれてきてひと安心…。
と思っていたら、入居者から
「天井から雨漏りしてるんだけど!!」
と怒りのクレームが!
※上の物語はフィクションです。

仮に、あなたが所有しているアパートで水漏れが発生した場合、どのような費用負担が必要になるだろうか。

  1. 水濡れで損害を受けた入居者の家財を補償。
  2. 水漏れ部屋の応急処置・点検・修理。
  3. 水漏れを理由として入居者が退去してしまった場合、空室による機会損失。

これらの費用および機会損失が発生してしまう。

もちろん保険でカバーできる内容もあるだろう。しかし、費用の全てを保険でカバーできるかどうかは、保険会社の調査が終わるまで分からない。保険が下りるまでは、オーナーが費用を立て替えなければいけない。

水漏れ・雨漏りだらけの欠陥アパートを買ってしまわないためにも、物件調査時に注意すべきポイントを五つに絞ってお伝えする。

1)最上階の天井部の雨漏り跡

まずは、ハッキリクッキリとわかる「雨漏り跡」。
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天井の隅、壁紙などに水濡れ・雨漏りの跡がないかをチェックする。

2)ベランダの排水口の詰まり

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※出展:TOKYO MX TV(Youtube)

ベランダの排水口が詰まっていないかをチェックする。
正常に排水されていない場合、ベランダに水が溜まって階下に水漏れを起こす可能性がある。
排水口を掃除して流れが改善されるようであれば、気にする必要はない。

3)ベランダの防水のはがれ

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※出展:曽根塗装店

ベランダの防水塗装がはがれていないかをチェックする。
防水塗装が不充分だと、ベランダから下の階に水漏れしてしまう。

4)雨どいの詰まり

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※出展:朝明板金

雨どいに枯葉やゴミが詰まっていないかをチェックする。
ゴミが溜まっていると途中で水たまりができてしまい、壁や天井から水が染みこんでしまう。
ベランダや窓から手を伸ばせば雨どいに届く構造のアパートであれば、メンテナンスは比較的簡単だ。
しかし、足場を組んだり屋根に登ったりしないと掃除ができない雨どいの場合、清掃費用は高額になる。

5)天井裏の結露

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※出展:菱熱工業

上階で水濡れの形跡がないにもかかわらず、下階の天井から水漏れすることがある。配管部(パイプスペース=PS)の結露が原因である場合だ。

水漏れ跡は、雨漏り跡よりも見極めが難しい。

もし浴室がユニットバスであれば、浴室天井の点検口を開いて配管部の結露状態をチェックできる。

ユニットバスの天井点検口

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ユニットバスの天井点検口をずらしたところ

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ただし、ユニットバスの点検口から確認できる範囲は、あくまで一部に限られる。
確認できた範囲に結露や水たまりがなかったからといって、安全とは言い切れない。
より安全性を確保したいのであれば、部屋の上にベランダが乗っているような物件は避けるべきだ。

5-1:危険性の高い物件例

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上記写真のアパートでは、2階居室の上に3階のベランダが乗っている。また、3階ベランダの雨水排水管が建物外部に設置されていない。雨水排水管が、室内の配管部(パイプスペース)を通っていると予想できる。

このような構造のアパートの場合、パイプスペースの断熱・防水・換気が不充分だとパイプが結露してしまう。結露の水が天井裏に溜まり、天井裏の防水性能を超えた段階で、居室に水漏れを起こす。

また、床材がめくれ上がったり反り返ったりしている部屋は、過去に水漏れを起こした可能性がある。
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もちろん、クッションフロアやカ-ペットの接着剤が単に経年劣化しているだけかもしれない。
判断を強化するためには、床材を設置した時期を売主に確認するとよい。床材を設置してから数年しかたっていないのに反っているのであれば、水漏れの可能性が考えられる。


5-2:危険性の低い物件例

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各階のベランダが上下同じ位置に並んでいる。
雨水排水管も建物の外に設置されているため、パイプスペースの結露による水漏れの危険性は低いと言える。

5-3:「矩計図(かなばかりず)」もチェック

各階のベランダが上下に連なっているアパートであっても、居室の上にパイプスペースが通っていることもある。
「矩計図(かなばかりず)」という図面があれば、各階の床下・天井裏の構造が確実に分かる。
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※出展:「110のキーワードで学ぶ 世界で一番やさしい 建築図面 木造住宅編」綾部孝司ほか著

「設計図なんて、とっくの昔にどっか行っちゃったよ」と売主が言っているようだったら、購入を見送った方がよい。

実体験に基づく

「5)天井裏の結露」は、自分の身に起きた経験から学んだ。

その年の初雪が降った日、室内でくつろいでいたら、「ビシャー!」という大きな音がキッチンから聞こえてきた。
キッチンをのぞいてみたら、天井から大変な勢いで水が漏れていた。
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水漏れ箇所は5~6か所におよんだ。天井からの水を受け止めるためには、複数のバケツが必要だった。床に置いたバケツも30分ほどでいっぱいになってしまった。かなりの水量だ。

広範囲にわたって水漏れしていたため、バケツの数が足りない。一時間に一度、受け止めきれず床面に飛び散った水を拭きとる必要があった。まるで、船底に穴が開いた船に乗り込んでしまったような気分だ。

管理会社の対応もずさんだった。
水漏れ対策工事がいつになるか不明と言われてしまった。

結局、このアパートからは水漏れ修理を待たずに退去することにした。

貸主に引越し費用を請求してもよかったが、これから貸主が負担しなければいけない費用を想像すると、たかる気にはなれなかった。
※代わりに、入居期間2年未満で退去した場合の違約金を免除してもらった。

貸主が対応しなければいけない作業の例を挙げると、

  • パイプスペースの結露対策(断熱材・防水・換気工事)
  • 天井材や壁材の交換
  • 天井や壁のクロス貼り替え
  • 床の交換

などが思い浮かぶ。

自分の保有物件ではなく、賃貸物件だったのが唯一の救いだ。
水漏れの恐ろしさを思い知った一件だった。

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