「空き家があるんだったらホームレスにタダで貸せばいいのに」という意見から感じた深い溝

trench-deep
(出展:AROUND THE WORLD in 7 PLATES

日本中で空き家が800万戸もあるんだったら、ホームレスにタダで貸してくれればいいのにねぇ」
という意見を耳にしました。

『ムチャ言うな!』
と反射的に思いましたが、彼らはあくまでも善意から言っているだけですし、耳を傾ける価値はあるはずです。

今後同じような意見を耳にした時のために、考えを整理しておきます。

なぜ「ムチャ」だと思ったのか

理由1)どんな空き家だろうと、家賃を下げれば借りる人はいる

周囲にひとっこ一人住んでいない場所でもない限り、家賃を数千円単位まで下げれば借りてくれる人は必ず現れます。

理由2)見ず知らずのホームレスに貸すくらいなら空室の方がマシ

お金を払って借りてくださる入居者さんに対してでさえ、家主は「審査」を行っています。

近所の人とうまくやっていってくれるか。
設備を壊したり、室内を汚したりしないか。

私個人の勝手な意見ですが、「ホームレス」という「属性」は審査の上で相当不利だと思います。

理由3)空室にしている理由は人それぞれ

  • 「親と住んでいた思い出のある家を、他人に貸すのは忍びない」
  • 「年に数回泊まる機会があり、人に貸すと何かと不便」
  • 「人に貸そうにも、リフォームのお金が無い」

【日本全国に空き家が800万軒以上】
と一括りに言っても、空室の理由は一戸一戸異なるはずです。

そこに、
「空き家なんだから、タダで貸してあげなよ?」
と言うのは、乱暴な気がします。

空き家所有者とホームレス支援者の妥協点

以上簡単に、
「空き家所有者がホームレスに貸したがらないであろう理由」
を3つ挙げました。

これらの理由に応える形で、一人反対尋問を実施してみます。

反論1)相場並か少し下回る程度の家賃で貸せるとしたらどう?

行政の支援が必要になりますが、生活保護や生活困窮者支援制度などを活用して、家賃を補助する仕組みを活用できるのであれば、家主も納得するかもしれません。

反論2)借り手を審査する仕組みや、補償や保険があったらどう?

借り手が部屋を汚したり破損した時のための保険や保障があれば、家主も貸す気にもなるかもしれません。

【結論】本気でホームレス支援をするつもりなら覚悟が必要

反論で挙げたような事を実現しようと思えば、家主側が行政に働きかけたり、支援団体や仕組みを作って継続的に活動したりする必要があります。
これほどの事業を引き受けるには、よほどの志や情熱が無ければ難しいでしょう。

「空き家をホームレスにタダで貸してくれればいいのに」というのは、あくまでも雑談の上での話です。
真に受ける必要はまったくありません。
それでも、当事者と外部の人の間には簡単には埋まらない大きな溝が存在する、という事を感じるには充分な一件でした。
溝を埋めるための議論も必要ですが、それにはお互いの意見への尊重が必須です。

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