※出典:ダイワコーポレーション。
2016年8月25日、ラ・トゥール新宿にて開催された「コインランドリー事業説明会」に行ってきた。
コインランドリー事業のビジネスモデルや、コインランドリー経営のポイントなどを知ることができた。
以下、セミナー内容のまとめ。
コインランドリー市場の現状と展望
近年、雑誌やTVなどでコインランドリー事業が取り上げられる機会が多い。
衣料のカジュアル化、健康志向の高まり、共働き世帯の増加などの要因から、コインランドリー市場が成長している。
コインランドリーのビジネスモデル
- 1940年代のアメリカで始まった。
- 初期投資は2000万円程度のケースが多い。
- キャッシュ(日銭)ビジネス。
- 利回りは約20%。
- 日本のコインランドリー市場は世界2位。1位はアメリカ。
- 加盟金・ロイヤリティ不要(ダイワの場合)
- 人手が掛からない(パートは雇ったほうがいい)。サラリーマンの副業に適している。
ダイワコーポレーションのビジネスモデル
アメリカから業務用洗濯機を独占輸入販売しており、機器販売益を得ている。
日本でのコインランドリーの歴史
1970年代に都内の銭湯がコインランドリーを併設したのがはじまり。
現在、都市型店舗が3割、郊外型店舗が7割を占める。
都市型店舗のメリットは、初期投資が少なくて済むという点。
デメリットは、損益分岐点が高く利益率が低い点。
午前10時から13時(昼の1時)の3時間で、一日の売上の半分が発生する。
この時間帯はパートさんを雇い、お客さん対応をしてもらうと望ましい。
パートさんには、機械の使い方が分からない人に説明したり、乾燥が終わっているのに置きっぱなしになっている台を空けたり、清掃作業に取り組んでもらう。
コインランドリー経営のポイント
- 管理を怠らない。怠るとすぐに売上は落ちる。とにかく店をキレイに保つ。クモの巣、ゴミ、汚れなどは徹底的に掃除する。
- 主な利用者は40代~50代の主婦。
- 売上の7割近くが乾燥機。
- スーパー・薬局・銀行などに行く途中の立地が望ましい。
- 車が出入りしやすい場所。
- コンビニ跡地はベスト。認知も早い。
- パートさんは人件費というよりも、口コミ・集客のための投資と考える。
- 花粉の時期、梅雨時、季節の変わり目、年末が稼ぎ時。
- ポスティングで認知を高める努力が必要。
- 新規開店は金曜日に合わせる。洗濯機半額などお得感を出す。
コインランドリーの収益モデル
郊外型
- 商圏:半径2km。
- 人口約2万人。
- 利用率5%(1000人)。
売上(年商) | 約1000万 |
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家賃 | 240万 |
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人件費 | 100万 |
光熱費 | 200~250万 |
リース代 | 250万 |
利益160万。
※光熱費は250万と想定(内訳:電気代80万、ガス100万、水50万、洗剤20万)。リースは1500万円の機械を7年。
家賃を安く抑えることがカギ。家賃交渉は必須。
また、借り入れを少なくして手元にキャッシュを残すことも重要。
コインランドリーは、ゴールデンタイム(10時~13時)以外は閑散としているのが普通。
都市型
売上(年商) | 約500万 |
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家賃 | 120万 |
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人件費 | 0 |
光熱費 | 100万~125万 |
リース代 | 150万 |
利益105万。
※リースは900万円の機械を7年。
都市型ではパートさんを雇う余裕はない。オーナーが自分で接客・掃除する必要がある。
店の前に車2台ほど路上駐車できる場所であれば、売上が1割弱増える可能性がある。
その他
コインランドリーを始めるにあたっては工事も必要。
郊外型で約700万円、都市型で約400万円。
更地から作るのであれば、それぞれ倍以上掛かる。
コインランドリーの耐用年数は6年または13年。地域によって異なる。
借入れは利息部分しか経費にできないが、リースであれば全額経費にできるので、リースがおすすめ。
リース終了後に残存簿価の数十万円を支払えば、機器はオーナーの所有物になる。
競合に負けないためには、ドミナント戦略で「地域最強店」を目指す。
1店舗成功したら、2km離れた場所で2店舗目を出す。同じく3店舗目を出す。
そうすると、点から線、線から面へと商圏が拡大し、地域を独占できる。
物件の立地は非常に重要。
オーナーが調査してきた物件のうち、残念ながら8割は却下させてもらっている。
質疑応答
Q. いい物件探しのコツは?
A. 毎週現地を訪問して、空き物件を見つけては不動産屋への電話を繰り返すしかない。
100件問い合わせて1件見つかればよい、くらいの考えが必要。
ラッキーな人は探し始めて一ヶ月くらいでよい物件を見つけてくることもあるが、長い人は半年掛かる場合も。
不動産屋を頻繁に訪問して、直接情報を仕入れるのが一番の近道。
Q. 土地勘がある場所で物件を探すべきか?
A. 1店舗目は会社や自宅から近いほうがいい。
Q. 価格破壊を仕掛けてくる競合にはどう対処すべきか?
A. 単発で半額セールを実施したり、キャッシュバックキャンペーンを行ったり、店舗をキレイに保って差別化したり。工夫は必要。
Q. オーナーは毎日店舗を訪問すべきか?
A. 週1回くらいの人が多い。コインBOXは1ヶ月くらい放っておいても一杯にはならない。ただし、店の状況チェックや、パートさんにヒアリングなど、週1回くらいは行った方がいい。
Q. 更地から始める人はどのくらいいるのか?
A. 多くはないが、いないわけではない。所有権を購入したり、借地権で借りたり、ショッピングセンターの一角を間借りしたり、いろいろな方法がある。
Q. トラブルや事故の例はあるか?
A. プロパンガスは周囲の気温が低すぎると液化してしまい、火が点かないこともある。工事時の防寒対策で対応可能。
感想
コインランドリー市場には参入の余地が大きいという点は、よく理解できた。
コインランドリー経営を成功させるためには、好立地で家賃の割安な物件を見つけることが最重要課題だ。
2016/09/16追記
近隣のコインランドリーに通って、売上状況をシミュレーションしてみた。